目次
さて、本日は、
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン。
両方重要な質問のやり方であるが、
オープンクエスチョンが使えなければ、
コーチングは機能しない。
そして、多くの人は、
クローズドクエスチョンが大得意。
さらにたちが悪いことに、
「自分はオープンクエスチョンを使えている」
と思っている。
多くの場合は、勘違いである。
レコーダーで自分の会話を録音してみるといい。
ひどいと、
100%がクローズドクエスチョン。
というわけで本日は、
この2つの使い分け。
↓コーチングスキル質問編の全体像はこちらの記事
こんな方におすすめ
- コーチングや1on1をビジネスシーンで使いこなしたい
- コーチングや1on1をやっているがなかなかうまくいかない
- コーチングや1on1を導入したいと思っている
- 相手の考えをうまく引き出すことができない
この記事でわかること
- オープンクエスチョン/クローズドクエスチョンって何か
- コーチングではどう使い分けるのか
- オープンクエスチョン/クローズドクエスチョン質問例
記事の信頼性
この記事の筆者は、
- PHP研究所認定ビジネスコーチ(上級)
- ビジネスコーチングは延べ2000人以上に実施
- コーチング研修の実施歴8年で200本以上実施
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの意味
まずは恒例。
辞書の意味から紐解いていきましょう。
オープンクエスチョンの意味
これは正確には、
「open-ended question」
を略したもの。
open-ended
When people begin an open-ended discussion or activity, they do not have a particular result, decision, or timespan in mind.
※コウビルド英英辞典(物書堂)より引用
こいつをGoogle先生に翻訳してもらうと↓
open-ended
人々が自由形式の議論や活動を始めるとき、彼らは特定の結果、決定、または期間を念頭に置いていません。
ということ。
というわけで、
「オープンクエスチョン(= open-ended question)」
というのは、
特定の結果=答えを念頭におかず、質問をする
ということになる。
つまり言葉を変えれば、
オープンクエスチョンというのは、
質問された人が、
自分で言葉を選び、
自分で文章を考えて、
答えなければならない質問の仕方。
だからこそ相手は、
自分の答えに責任を持つ
ことができる。
クローズドクエスチョンの意味
さて、
勇んで「closed-ended」の意味を、
辞書で調べようとしたが、
これは乗っていない。
Google先生に翻訳してもらおうと思ったけど、
こちらは
closed-ended question
クローズドエンドの質問
って答えが返ってくるので、
辞書にはないということがわかる。
Open-endedは辞書に乗っていて、
closed-endedはなぜないのか。
そういうふうにこの言葉が誕生したのかは、
引き続き調べてまいります。
わかったらこちらに掲載しますので、
しばらくお待ちください。
さて、意味ですが、
open-ended questionが「自由回答形式の質問」
であるのに対し、
closed-ended question は、
「選択式回答型の質問」
ということになる。
つまり、
答えを準備するのは「質問者」であるため、
気をつけないと、
「言わされた」
という感覚が強まり、
自分の回答に責任を持たないケースも生まれる。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンのメリット/デメリット
コーチングにおいては、
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの特徴や、
メリット/デメリットをしっかりと理解した上で、
意識的に使い分けていくことが望ましい。
オープンクエスチョンのメリット
- 自由に回答できる
- 回答者の言葉で表現される
- 回答者にとって正しい言葉や表現となる
- 結果、自分の答えに責任を持つことができる
クローズドクエスチョンのメリット
- 範囲を絞り込むのに有効
- 様子を伺うことができる
- 答えるのが容易
- 答えに時間が掛からない
- あまり考えなくていい
オープンクエスチョンのデメリット
- 考えるのに時間がかかる
- 考えるのが大変
- 言葉を選ぶのが大変
クローズドクエスチョンのデメリット
- 質問者の選択肢に適切な答えがあるかわからない
- 真実が見えづらくなることがある
- 誘導されている感覚に陥ることがある
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分け
コーチングにおいて、
この2つをどのように使い分けていくのか。
コーチングでは基本的に、
オープンクエスチョンをベースにしながら進めていくことを、
意識しておくといい。
クローズドクエスチョンは、
相手の様子や感覚を探る質問。
会話の入り口で方向性を探り、
その後、オープンクエスチョンや、
掘り下げる/拡げる質問を使って、
具体的にしていくような感じ。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン使い分けの一例
コーチ「現状どう?」←オープンクエスチョン
相手 (沈黙…、話しづらそう)
コーチ「どちらかというと、うまくいってる?いってない?」←クローズドクエスチョン
相手「うまくいってないっす」
コーチ「どんなことがうまくいってないの?」
相手「こんなこととか…」「あんなこととか…」
というように、
オープンクエスチョンを投げて、
なかなか答えが出てこない場合や、
真意が見えない場合に、
クローズドクエスチョンを投げかけて、
範囲を狭める。様子を伺う。
その後にオープンクエスチョンを投げていくというイメージ。
オープンクエスチョンのやり方/コツ
オープンクエスチョンを意識的に使うためには、
ビジネスツールとしておなじみの、
5W1Hを
頭に置いておくとやりやすい。
5W1Hを念頭に置きながら、
相手の話を聴いて、
不足している情報を、
網羅的に聴いていくことができる。
5W1Hの中で、
語られていないことを、
訊いていくといい。
事実(客観情報)を確認していくための5W1H
Who:誰
主語や対象を明らかにするための質問。
- 「誰がやるの/やったの/言ったの?」
- 「誰に対して働きかける必要がある?」
- 「誰の協力を得る?」
など
When:いつ
時間、期限や期間を確認するための質問
- 「いつ終わらせたの?」
- 「いつからいつまでやっていたの?」
- 「いつまでにやるの?」
- 「対象の期間は?」
など
Where:どこで、どんな場面で
場所や場面を特定するための質問
- 「どこでやったの?/やるの?」
- 「どんな場面で使うの?」
など
Why:なぜ、何のために
理由や目的を確認するための質問
- 「何のためにやるの?」
- 「なぜそれをするの?」
- 「どうしてこのようにやったの?」
など
※個人的な理由や目的などは、
どちらかというと「意見や考え」になるので、
ここでは、
一般的に考えられることや、
所属組織のミッション、目的などが挙げられる。
What:何を
内容を確認するための質問
- 「何をするの?」
- 「何が原因なの?」
- 「何があればうまくいった?」
- 「何になりたいの?」
- 「何があったの?」
- 「何を使うの?」
など
How:どのように、どう
方法、やり方、意見、考え、気持ちなどを確認するための質問
- 「どのようにやるの/やったの」
- 「どうやったらうまくいく/うまくいったと思う?」
意見や気持ち(主観情報)を引き出すための質問
これは、
2つのHowとWhyを使う。
How do you think?
相手の考え、解釈、判断を訊くための質問
- 「あなたはどう考える?」
- 「あなたの意見は?」
- 「どんな感想?」
など
How do you feel?
相手の気持ちを訊く質問
- 「どんな気持ち?」
- 「どんな感覚?」
など
POINT:客観情報と主観情報のバランスよく引き出す
「事実(客観)を確認するための5W1H」と
「意見や気持ち(主観)を確認するための2H」を紹介したが、
これには得手不得手がある。
好みがあると言ってもいいかもしれない。
「客観情報」に興味があって、
その扱いが得意な人、
つまり、
論理的に物事を考えることが得意だったり、
好みだったりする人は、
「事実確認」の質問に偏る傾向がある、
人の気持ちや考えに無頓着になったりする。
逆に
「主観情報」に主な興味があって、
人の気持ちや意見、物語重視の人は、
「主観情報」に興味が偏り、
「事実情報」を引き出すことが、
おろそかになったりする。
自分の傾向を理解し、
日頃あまり興味を向けないところに、
自分の興味を向けていくと、
相手の情報をバランス良く引き出すことが可能になる。
クローズドクエスチョンの使い方
クローズドクエスチョンは、
質問する人が回答を準備する。
イエス/ノーで答えることができたり、
いくつかの選択肢を提示して、
その中から選んでもらう、
いわゆる「択一式」だったりするのが、
クローズドクエスチョン。
答えるのが簡単だったり、時間が掛からない反面、
真意が見えづらかったり、
回答者の意図に誘導されたりする
クローズドクエスチョンを使うのは、
以下のような場面
- 話のきっかけをつくる
- 範囲を絞り込む/感じを掴む
- 決意の確認をする
話のきっかけをつくる
「元気?」
「うまくいってる?」
と投げかけて、
相手の反応をみながら、
次の話の展開につなげる。
それをきっかけとして、
オープンクエスチョンなどで掘り下げていく
まあでも、
これに対するオープンクエスチョンとして、
「体調はいかが?」
「調子はどう?」
「プロジェクトの進捗の状況は?」
など、クローズドクエスチョンを使わなくても、
話をスタートすることもできる。
ただ、オープンクエスチョンは、
言葉を選んだり、説明が大変んだったりもするので、
最初にクローズドクエスチョンから入ると、
会話をスムーズにスタートできるということはある。
範囲を絞り込む/感じを掴む
「どちらかというとどっち?」
という感じ。
「好き?嫌い?」
はわかりやすい。
「出身は関西でしょ?」
というのも絞り込み。
決意を確認する
コーチングの最後は、
大抵の場合、
やることを決定して終了となる。
コーチングは、
コーチングが終わった時に、
モチベーションが上がっていることは重要だが、
より重要なことは、
コーチングによって、
相手の行動や結果が変容すること。
だから、
確実に決めたことを実行に移すための、
決意をつくる必要がある。
「うまく行きそう?」
「これで確実に前進をつくれそう?」
と訊くことによって、
相手の反応を伺う。
自信や確信がなさそうであれば、
プランを見直す必要があるかもしれない。
これも、
クローズドではなく、
「決めたことをやりきる自信は何%?」
と、オープンクエスチョンで訊いても、
わかりやすいかもしれない。
今日のまとめ
本日は、
コーチングスキルの質問において、
非常に重要な、
「オープンクエスチョン」
「クローズドクエスチョン」
について解説してみました。
大事なことは、
「コーチングの基本的な質問は、
オープンクエスチョンで進めていく」
ということ。
クローズドクエスチョンを投げて、
「はい」
しか言わせないようなやり取りは、
相手のモチベーションや主体性を、
確実に削いでいく。
オープンクエスチョンで、
考える力と主体性を育てましょう。
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