前回は、フィードバックの目的と前提を扱った。
前回のブログ↓
部下のモチベーションを維持しパフォーマンスを上げるフィードバックのやり方③
今日はフィードバックの内容・種類についてお伝えしていこうと思う。
フィードバックの内容・種類
フィードバックの内容というのは、何を情報として相手に伝えるのかということだ。
フィードバックの種類は3つある。
1.コーチから見えた事実
2.コーチが感じた気持ち
3.コーチの解釈や判断
1は客観情報。2,3は主観情報。フィードバックの際は、この3種類を使い分ける。
フィードバックの種類による特徴
事実のフィードバック
事実のフィードバックは、「受け取りやすい」「受け取らざるを得ない」という特徴がある。客観的事実のフィードバックというのは、「何が起きたか」「何を言ったか」「何をしたか」という、相手のパフォーマンスや出来事について伝えることだ。
事実のフィードバック例
「口元にご飯がついているよ」
「会議で1度も発言しなかったね」
「部下に「ふざけるな」って言っていたよね」
「あいさつを返していなかったね」
など
事実のフィードバックの効果
起きたことと起きなかったことを、そのまま伝えるということ。前述のとおり、人は自分のパフォーマンスについて気づかないことが多い。理由は、私たちの言動を司っているのは、ほとんどの場合「無意識」だからだ。
そして、客観的事実というのは、誰からみても同じ捉え方になるため、「それは違う」と否定することが難しくなる。つまり、受け取らざるを得ない情報であるということ。
気持ちのフィードバック
ビジネスと気持ちは切り離す人が多いのだが、気持ちのやり取りというのは、実はビジネス上も重要だ。
気持ちのフィードバックというのは何かというと、相手のパフォーマンスによって(そうされた、それを観ていた)自分がどのような気持ちになったのかを相手に伝えること。
ちなみに、主語は必ず「私」になる。
気持ちのフィードバック例
「見ていて(私は)、残念な気持ちになった」
「悲しかった」
「うれしかった」
「つらかった」
「頭に来た」
「イライラした」
など
気持ちのフィードバックの効果
私の言動が人をそういう気持ちにさせたと、言動と相手の中に起きることの因果関係に気づくことができる。
他の人も、そういう気持ちにさせている可能性があると感じることができる。
同じ出来事や言動を通じて、気持ちの感じ方というのは人それぞれであるが、「少なくとも私はそういう受け取り方をした」というのは、受け手にとっての事実であり、変えることはできない。それゆえに、これも「事実のフィードバック」と同様、受け取らざるを得ない性質をもったフィードバックであると言える。
そして、人は気持ちのやりとりを深層心理では望んでいたり、相手を気持ちいい状態にしておきたいと望んでいたりするため、信頼関係があればあるほどに、この気持ちのフィードバックは、有効な情報となる。
判断・解釈のフィードバック
これは、事実や相手の行動を見た、自分の解釈や判断、あるいは評価を相手に伝えること。
判断・評価のフィードバック例
「やる気がないように感じる」
「行動することに抵抗しているように見える」
「本当はやりたくないのではないかなと思える」
「社会人としてだらしないなと感じる」
「組織の雰囲気を乱しているように思える」
「相手のことを考えていない感じがする」
「以前よりも前向きになっている感じがする」
「まわりの人は喜んでいる感じがする」
「すばらしい」
「すごい」
など
判断・評価のフィードバックの効果
ものの見方や考え方を拡げる効果がある。人から見るとそのように見える。フィードバックをされた内容がその人にとって前向きな内容であれば、自分のパフォーマンスを維持したり、強化したりする方向に働くし、自分にとって望ましい状態でなければ、自分の言動をどう変えればいいのかを考えるきっかけになる。
同時に、判断や評価は、ものの見方や考え方、もともと持っている価値観、言動や出来事の捉え方などによって当然ながら個々が異なるものとなる。
信頼関係があれば、そのフィードバックを受け止めようとなるが、信頼関係がない場合は、あっけなく「私とこの人は違う」という形でバッサリ切られる可能性があることもしっていなければならない。
まとめ
というわけで、今日はフィードバックの内容・種類についてお伝えしてきた。フィードバックといっても、上記の内容を一緒くたに伝えてしまうことはよくあること。とりわけ、「評価・判断」のフィードバックを多投して、信頼関係を失っていくケースはたくさんあるので注意が必要である。
フィードバックには内容・種類があるのだということを理解したうえで、正しいフィードバックのやり方と合わせて生かしていただけたらと思います。
次回ブログ
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