前回は、フィードバックをしたときに起こりうる、相手の反応についてお伝えしました。今日は、そもそもフィードバックというのはどのような目的で行うのかという、ある意味最も重要なところに触れていこうと思います。
前回のブログ↓
部下のモチベーションを維持しパフォーマンスを上げるフィードバックのやり方②

フィードバックの目的

フィードバックの目的は、フィードバックの対象が、目指している個人の、あるいは組織的な「成果」を手にするために、パフォーマンスを最大化することである。

つまり、コーチのフィードバックによって、すでにうまくいっている相手のパフォーマンスが今よりもさらに良くなったり、または、そのパフォーマンスを維持できたり、今うまくいっていないものが改善されたりすることだ。

フィードバックによる気づき

パフォーマンスの改善の前にかならずやってくることは、「気づき」だ。自分の状態がそうなっているということに「気づく」。自分の言動について具体的な事実として何を言い、何をやったのか、気づく。例えば野球をやっていて、自分はイチローのようにスイングしているように思っていたとしても、他の人から見るとまったくそうは見えないことがある。サッカーで言えば、香川真司のようにプレーしているつもりであったとしても、やはり同じで、そのパフォーマンスとは程遠いこともある。

自分の状態がどのようになっているのか、それに気づくことから、パフォーマンスの改善は始まる。逆に言えば、気づかない限り、人は今のパフォーマンスを続ける。

鏡をみたり、写真や映像を撮ってもらうことを通じて自分の状態に気づくことはあるが、コーチというのは、鏡のように相手のパフォーマンスを映し出す存在とも言える。

フィードバックの目的ではないもの

・コーチがスッキリすること
・相手を傷つけること
・相手をやりこめること
・自分の方が優位であると証明すること
・誰かとの比較をすること
など

「いやいや、そんな目的ありえない」と思うかもしれないが、人の目的はあっという間にすり替わる。頭では「相手の支援が正しい」と仮に知っていたとしても、人の無意識(潜在意識)は自分がこうすべきとわかっていることとは違う言動を引き起こす。ある意味、自分の本来の意図に立ち戻る。だからこそ、自分が引き起こしやすいパターンを知っている必要があるし、本来あるべき意図にねざされるよう、強烈に自分に言い聞かせる必要がある。

フィードバックの前提

前提として知っていなければならないことは、いろいろあるので、

相手が望んでいる成果

相手がどのような成果を望んでいるのか、あるいは、つくるべき成果は何か。これを知っておく必要がある。

フィードバックが正しいかわからない

フィードバックするコーチは、「謙虚」である必要がある。コーチはあくまでも、自分の視点や自分のものの見方・考え方で事実や出来事を捉えていく。したがって、それが唯一無二の正しい捉え方かどうかはわからない。

「私から見るとこう見えた」という、違う視点の提供を行うことがコーチができることであって、それを相手に押し付けることではないということを知っておく必要がある。

信頼関係

基本的な信頼関係がなければ、フィードバックは受け取られない。「この人のメッセージは誠実に受け取ろう」という意識が相手になければ、いくらそれが「真実の」フィードバックであったとしても、残念ながら受け取られることはない。
フィードバックを機能させるためには、日頃から相手の話を聴いてよく理解し、適切なコミュニケーションをとり、基本的な信頼関係を築いている必要がある。

まとめ

今日は目的と前提についてお伝えした。目的がすり替わると、フィードバックは信頼関係を損ねる武器になってしまう。そして、相手は守りに入る。殻に閉じこもった亀のように、防衛反応を示した相手にフィードバックをしても逆効果。相手が目指す方向性や成果を明確に理解したところから、コーチから見える情報を提供すること。
気づきを促し、自発的にパフォーマンス(言動)を変えていくこと。これが、フィードバックすることで創り出したいひとつの重要な状態だ。

次回ブログ

部下のモチベーションを維持しパフォーマンスを上げるフィードバック④フィードバックの種類

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