そういえば、1on1ミーティングが必要なのは、外的要因だけではない。組織の内側に渦巻くさまざな要因もある。
1on1ミーティングとは、1対1で行う部下支援のための対話であるが、そういう意味では、通常企業で実施される「面談」も同じ形をとる。
この面談はどのような形でどのように機能しているか。

1on1(面談)は誰のためのもの?

面談は誰のものか。正しい答えは「部下のため」。しかし、その名目と実態が合っている「面談」は数が少ないように思える。

上司が喋り続ける面談

設定の時間の9割以上を上司が喋っているという面談は少なくない。しかも、本人には喋りすぎているという自覚がない。9割自分がしゃべっている状況においても、「相手の話を聴けている」と思っている。
内容は、説教、ミスや欠点の指摘、一方的な価値観やアイデアの押しつけ、わかりきっている事柄のアドバイス。上司の愚痴や言い訳。部下が許される発言は「はい」と「そうです」。
この時間を過ごす部下はたまらない。

上司が正しい答えを求め続ける面談

上司が答えありきで質問することもある。自分が求める答えでないものは拒絶・否定をし、ようやく出た自分の求める答えに満足する。であれば、質問などせずに、自分の答えを切り出したほうがまだ潔い。
この関わりが多くなれば、部下は自分の真実や本音を語ることはない。上司にとっての正しい答えを探りながら、自分の意見とは違うことを口にしなければならない。

ただの評価伝達面談

評価を伝えておしまいという面談もある。ものの5分程度で、自分の考えや何らかの弁明をする余地もない。共に振り返ることもないため、学びも気づきもない。
「面談をやりました」という実績をつくる、つまり体裁を整えることが目的となってしまっている。

方向性のない雑談

飲み屋で話すような内容を、面談でしているケースもある。組織が定めた面談の機会。とりあえず集まってみたけど、何を話していいのか、何を聴いていいのかようわからん。というわけで、決まった時間を潰すためになんとなくお話しして終了。

1on1/面談を実施するためのスキル 〜ティーチング偏重の面談スキル〜

1on1ミーティングを部下にとって効果的な機会にするためには、適切なスキルを場面や相手の状況に応じて使い分ける必要がある。それはティーチングとコーチング。

上記の「よくある面談例」は基本的にティーチングの関わりだ。しかも相手が望んでいないティーチングを実施する。
ティーチングは引き続き必要だ。しかし、コーチングをバランス良く取り入れていく必要がある。バランスを整えるためには、コーチング9割くらいの意識でいると、ちょうど50:50くらいになるかもしれない。

ティーチングとは

ティーチングはTeachなので、「教えること」。主な情報の発信源は、上司ということになる。
指示命令を出す。上司のやり方でやらせる。新しい知識や技術を与える。アドバイスをする。
つまり、上司が考えて上司の考えを示す。あるいはもともとある上司の考えを伝える。部下はそれを受け取り行動に移す。
基本的にはこれがティーチングの流れ。

コーチングとは

コーチングは、引き出す関わり。主な情報の発信源は「部下」となる。
基本的な流れは、質問する。傾聴する。受容する。承認する。必要に応じて、フィードバックするなど。
部下が自分で考えて、自分で決めて、自分で行動して、自分で結果つくって、自分で責任をとる。責任というのは、対応する力のこと。
「やらされている」わけではないため、主体性や自主性が増す。

まとめ

1on1において必要なスキルを受け入れる必要がある。ティーチングだけでは面談や1on1ミーティングは機能しない。それを受け入れた上で、コーチングのスキルを学び、磨き、実践し続ける必要がある。
「1on1がなぜ必要なのか」というタイトルだったが、どちらかと言うと、今、企業で行われている面談や1on1は適切になされていないという紹介になりました。というわけで、1on1の中にコーチングをしっかりと取り入れつつ、1on1ミーティングや組織の「面談」というものを良質なものに、あるいは、部下からみて「楽しみ」「意味がある」といえるような機会にしていきましょう。

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