人が会社を辞めていく理由

ネットを見ていると、離職の理由について多くのサイトでまとめられている。

・労働時間や休日、休暇などの労働条件

・やりたい仕事ではなかった

・仕事にやりがいを感じられない

・自分の能力を活かせない

・精神的な健康を損ねた

・身体的な健康を損ねた

・上司や先輩との人間関係

・同僚との人間関係

・部下や後輩との人間関係

・給与や賞与などの待遇面が不満

・仕事の量が多すぎる

・責任ある仕事を任されなかった

・責任が重すぎた

・他にやりたいことを見つけた

・会社の将来性がないと感じた

・結婚、子育てのため

・介護のため

・会社が倒産した

・企業、独立のため

・家業を継ぐため

・なんとなく嫌になった

参考:内閣府HP

https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30honpen/s0_0.html

理由ひとつではない

人が会社を辞めていく場合、際立った一つの理由はあるかもしれないが、いろいろな理由が交錯する。それが積み上がって、決断に至ると思っていい。

理由は決めつけが働く。

「きっとあの人がやめる理由はこうだろう」

というような…。

辞める理由はいろいろあるということを知っている必要があるし、その中でもどの理由がもっとも強いものなのかを理解して、対処する必要がある。

退職理由2つの方向性

退職理由は大きく2つの報告性がある。端的にお伝えすれば、「+」の理由と「ー」の理由だ。

「+」の理由をここでは、「希望」とし、

「ー」の理由をここでは、「逃避」とする。

その1希望

「これをやりたいから」

「こうなりたいから」

だから辞める。

現状に不満があるというよりも、特に不満はないが、より望む状態あり、それを手にするために他の環境に身を置きたいというのが、「希望」である。

別の言葉で言えば、「向かうモチベーション」が強くされている状態である。

その2逃避

今の場所や環境から逃れたいというのが、もうひとつの理由。

今の状況が嫌だから、つまり、「ー」であるから、とにかくこのマイナスの状況から脱したいというモチベーションが、退職の理由となっている。

別の言葉で言えば、「避けるモチベーション」が強く働く状態である。

すごく純粋な向かうモチベーションが存在し、そのモチベーションは今の組織や環境では100%満たすことができないということであれば、離職を阻止することは難しい。しかし、そんな前向きな離職は珍しく、多くの場合離職の引き金となるのは、今の環境に関する何らかの不満や悩みではないだろうか。

「離職」の話が出る前にコーチングでフォロー

離職はいろいろなことの積み重ね。積み重なっていく前に、解消できれば「離職」という大きな決断には行きづらくなっていく。可能性が減っていく。

というわけで、日常的に、「離職」という決断にいかないためのサポートが必要だ。これは、日常的に接する可能性の高いマネジャーのコミュニケーションを、質・量ともに高めていく必要はあるのだが、同時に、組織的な仕組みを整えることも欠かせない。マネジャーの意識やスキルだけでは限界がある。

「駆け込み寺」ではないが、いつでも気軽に相談できるような仕組みとか、定期的な1on1ミーティングで、職場だけではなく、日常的な悩みや課題を相談できるような機械の確保も有効だ。

そういった仕組みの中で、「向かうモチベーション」を高めたり、「避けるモチベーション」を緩和したり、その問題解決をサポートできたりする。

具体的には、今の環境や職場で働き続けることの、「本人にとっての」意味や価値を明確にしていくこと、今の仕事における「やりがい」を見つけていくこと。

または、悩みをよく聴きながらそれを理解する姿勢を見せることだけでも、相手は少し安心したり、自分ひとりで抱えていた悩みを口にできてスッキリしたりする。

離職の話がでてしまったらとりあえずコーチング

正直なところ、「離職する」ということに関して、何らかの決断を下した人の意思を変えることはなかなか難しい。一度思い直しても、「離職」を一度口にすると、二回目を口にすることへの抵抗が少なくなるので、結局辞めていくということが多い。

しかし、健全な形で引き止められる可能性はある。というわけで、「辞める」話が出たら、ひとまず親身にコーチング。

関わるときは、「あなたの人生を応援しているし、サポートしたい」というスタンスでいるといい。「なんとか離職を止めよう」という意識やスタンスはもちろん、「離職なんてけしからん!」という話になればなおさら、相手はどんどん心を閉ざしていく。

まずは話を聴くこと。訊くこと。

十分聴いてもらって、スッキリしたら、離職を思いとどまるかも…。

あるいは、会話の中で重要な気づきを得たら、離職を思いとどまるかも…。

このくらいに考えて置いたらいい。

やはりなんと言っても、事後対応よりも「予防」が大事だ。

「逃げてる」フィードバック

「逃げてる」

というフィードバックをしたくなることはあるかもしれない。そして、関係性によってはそのフィードバックが有効だ。

というのは時として事実であるが、それを人から言われても、頑なになるばかり。その状態に本人が気づいて、自分の意思でそこに立ち向かうということが必要。「逃げるなよ」は、伝えたくなってしまうことではあるが、それを言える関係性を築いているかは考えた方がいい。

など

今日のまとめ

「離職」というのは、本人にとっても、その周りにとっても、もちろん組織にとっても衝撃的な事柄である。だからあまりつっこんで触れないことが多い。

しかし、関わりの適切なやり方を知っていれば、今までとは違う関わり方ができる。コーチングは、それを可能にしてくれるひとつの有効な道具である。

データはいろいろあるが、離職の理由の多くは「人間関係」。特に上司との人間関係を挙げる人が圧倒的に多い。「上司」とか「マネジャー」とか「指導員」と呼ばれる人たちのコミュニケーションの質と量を変えることで、長く気持ちよく働ける社員を増やしてみてはいかがでしょう。

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