昨今、日本の企業や組織においても、上司と部下(あるいはメンターとメンティ)が定期的に対話の場を持つ「1on1ミーティング」を導入しているところが増えている。これは部下のやりがいやモチベーションをアップさせたり、生産性を上げたり、離職率を下げたりと、波及的な効果はさまざま考えられる。
一方で、こんなに頻繁に機会があっても、「何を話していいのかわからない」という声もよく聴く。もちろん、企業の方向性に沿う必要はあるのだが、1on1において何を話すのかはわりと自由だ。
1on1ミーティングは何のためにやるのか
そもそも「何を話すか」の前に、「何のために話すか」を、特に上司や指導者にあたる人は明確にしておく必要がある。
「会社が決めたから」「やれと言われたから」という理由や意識で、1on1ミーティングを実施している人も、どうやら相当数いそうであるが、なんとももったいない。前述のとおり、1on1ミーティングは正しくやりさえすれば、その波及的効果はいろいろと考えられる。
日本の組織にある「面談」へのイメージ
1on1ミーティングの別の呼び方として、「面談」というのが日本では一般的。しかし「面談」というのは、誰かが何かを評価するというイメージが強い。決められた殆どの時間を、上司から部下に対する何らかのメッセージで費やすことも多く、部下の立場からすれば、「面談は面倒なもの」「面談はいやな時間」というイメージもある。
また、仕事の時間であるから、「仕事のことだけを話さなければならない」という考えもある。
1on1ミーティングの目的
1on1ミーティングの目的は、例えば、
「会社における部下のパフォーマンスを上げること」
「部下がやりがいを持って仕事をやれること」
「部下が会社生活を通じて、素晴らしい人生を送ること」
など、いろいろ考えられる。
そもそもの目的が何かを明確にすること。そしてその目的を、双方が理解していることが、1on1ミーティングを機能させていくための最低条件。
きょうのまとめ
というわけで、「1on1ミーティングで話すことがない」と感じている人の多くは以下の2つに絞られる。
①過去の「面談」イメージにとらわれている
②1on1の目的を明らかにしていない
1on1ミーティングは多くの場合、上司と部下、メンター(指導者)とメンティ(被指導者)の間でされることが多いが、組織の思惑や目的は理解した上で、双方にとってどういう機会にしたいのか、なったらいいのかを明確にする必要がある。