目次
コーチングや1on1において、
「質問」のスキルは、
コーチングの成功を握る重要な鍵。
というわけで、
本日より何回かは、
「コーチングスキル質問編」ということで、
お伝えしていきたいと思いますが、
今日は、
コーチングにおいて使う質問の全体像について、
お伝えしていきます。
こんな方におすすめ
- コーチングや1on1をビジネスシーンで使いこなしたい
- コーチングや1on1をやっているがなかなかうまくいかない
- コーチングや1on1を導入したいと思っている
- 相手の考えをうまく引き出すことができない
この記事でわかること
- コーチングでどのような質問を使うのか
- それぞれの質問がどういうものなのか
記事の信頼性
この記事の筆者は、
- PHP研究所認定ビジネスコーチ(上級)
- ビジネスコーチングは延べ2000人以上に実施
- コーチング研修の実施歴8年で200本以上実施
コーチングにおいて意識すべき4種類の質問スキル
質問の考え方や切り口は、
いろいろあると思いますが、
本日は4つの質問の種類を紹介します。
それぞれの種類を適切に意識して使うことで、
コーチングは非常に効果的なものとなります。
4種類の質問とは…
- オープンクエスチョン/クローズドクエスチョン
- 掘り下げる質問/拡げる質問
- 過去質問/未来質問
- 肯定質問/否定質問
なお、この記事では、全体像と概要に触れ、
このひとつひとつについては、
別の記事でより具体的に紹介していきたいと思います。
その1:オープンクエスチョン/クローズドクエスチョン
正確には、
「Open ended question」
と
「Closed ended question」
開かれた質問と閉ざされた質問。
オープンクエスチョン
オープンクエスチョンというのは、
質問された人が、
自分で言葉を選び、
自分で文章を考えて、
答えなければならない質問の仕方。
コーチングでは、
この質問の仕方が軸となります。
質問された人が自由に回答できるため、
回答者の真意が表現されやすいが、
考えるのに比較的時間がかかります。
クローズドクエスチョン
クローズドクエスチョンは、
質問する人が回答を準備することになります。
イエス/ノーで答えることができたり、
いくつかの選択肢を提示して、
その中から選んでもらう、
いわゆる「択一式」だったりするのが、
クローズドクエスチョンです。
答えるのが簡単で時間が掛からない反面、
真意が見えづらかったり、
回答者の意図に誘導されたりすることがあります。
その2:掘り下げる質問と拡げる質問
私がコーチングにおいてする質問は、
ほとんどこれと言っても過言ではないくらい、
この質問にはお世話になっております。
この2つの質問で、
曖昧な情報やアイデアについて、
より具体的にしたり、
選択肢を増やしたりする。
掘り下げる質問
曖昧な情報を具体的にする質問の仕方。
「それってどういうこと?」
って質問していく。
相手:「幸せになりたいんですよ」
コーチ:「幸せってどういうこと?」
相手:「結婚したいんです」
コーチ:「どんな結婚だったら幸せかな」
相手:「優しい人と結婚できれば幸せです」
コーチ:「優しい人ってどんな人?
…(続く)
とこんな感じ。
拡げる質問
他の情報やアイデアを引き出すための質問。
「他には?」
これだけ。
非常にシンプル。
「どんな人と結婚したいの?」
「優しい人」
「他には?」
「一緒にいて心地いい人」
「他には?」
「アウトドアが好きだったらいいですね…」
「他には?」
…
という感じ。
※お気づきと思うが、
この答えもすべて掘り下げることができる。
「優しいってどういうこと?」
「一緒にいて心地いい人ってどんな人?」
「アウトドアって例えばどういうこと?」
その3:未来質問と過去質問
これは時制なので、
時間の方向性。
コーチングというのは、
未来創造型のコミュニケーションであるので、
必ず、
望む未来を想像し、
それを実現するために、
あらゆる過去を材料としていく。
「望む未来って何?」
「そのためにどうする?」
これがコーチングの基本。
そして、
それをつくるために参考にできる過去があるのであれば、
大いに参考にする。
未来質問
未来のことを訊く。
これから起きることや起こすことを訊く。
過去質問
過去や現在のことを訊く
すでに起きていることを訊く。
その4:肯定質問/否定質問
これは、
訊く内容や訊き方が、
前向きか後ろ向きかということなので、
内容や気持ちの方向性のお話しです。
予めお伝えしたいことは、
どちらも有効な質問であり、
適切に使い分ける必要があります。
※否定質問がダメかのように伝えたり、
書いていたりすることがよくあるので、
それは違うということをお伝えしておきたいわけです。
肯定質問
あるものや創り出すことに焦点を当てる質問
否定質問
ないものや脅威・抵抗に焦点を当てる質問
目的に沿った質問を創り出す
大切なことは組み合わせ。
上記4種類の質問が、
単発になることはほとんどなくて、
投げる質問は大抵の場合、
上記のいくつかの組み合わせになっています。
質問の例
例えば、
「どんなふうに成長していきたいって思ってる?」
って訊いたら、
この質問は、
- オープンクエスチョン
- 未来質問
- 肯定質問
ですし、
その質問に対して相手が、
「かっこよくありたいです」
って答えたとして、
「どうであったら『かっこいい』って言えるだろうか?」
って質問したら、これは、
- オープンクエスチョン
- 掘り下げる質問
- 未来質問
- 肯定質問
とすべてが網羅されているし、
逆に、
「カッコ悪い状態ってどんな状態?」
って質問したら、
- オープンクエスチョン
- 未来質問
- 否定質問
- (拡げる質問)
ということになるわけです。
また、
「これまで自分のことカッコ悪いなって思ったことはある?」
って質問したら
- クローズドクエスチョン
- 過去質問
- 否定質問
ということになるわけです。
イメージつきますか?
未来のために扱うべき内容は質問する
前述のとおり、
コーチングというのは未来創造型の、
支援のコミュニケーションです。
その未来を想像するために、
扱うべき内容は、
それが否定的なものであっても、
扱わなければなりません。
その否定的な内容に直面しつつ、
それを前向きなエネルギーに変えることを支援するのです。
コーチも相手も、
見据える先は、未来の望ましい姿。
これを忘れてはいけません。
今日のまとめ
というわけで、
今日はさらりと全体像でした。
重要なことは、
- オープンクエスチョンに軸足
- しっかりと掘り下げて拡げる
- 未来をつくる質問をする
- 前向きに考えられるよう支援する
ということ。
できているつもりでも、
結構できていないことです。
適切に質問をすると、
相手の思考を明確にしたり、
お互いの認識をしっかり合わせたりと、
確実な前進に繋がります。
質問力を鍛えましょう!
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