【2020/11/26更新】

「1on1ミーティング」というのを、
会社でやることになってのだが…、
何をテーマに話して良いのかわからない」

というお悩みをよく耳にする。

1on1のテーマは正直なところ、
「なんでもあり」
なのだが…、
そう言われるとなおさら困る。

というわけで、本日は、
テーマの選定をどのようにすれば良いのか、
その切り口をいくつかご紹介

この記事を読んでわかること

  • 1on1ミーティングのテーマ選定の考え方
  • どのような話題が1on1のテーマになりうるのか
  • 1on1のテーマの引き出し

こんな人におすすめ

  • 1on1をやる際、相手がなかなか話してくれない
  • 無言/沈黙が多くて1on1の時間が苦痛…
  • 1on1で何を話せばいいのかわからない

といった、上司、部下の方々。
(どちらの立場であっても参考になると思います)

記事の信頼性

筆者は、

  • コーチング歴15年
  • 1on1やコーチングに関する研修の実施実績多数
  • 1on1/コーチングの実施実績は延べ2000人以上
  • PHP研究所認定ビジネスコーチ(上級)
  • PHP研究所認定チームコーチ

1on1ミーティングのテーマを考える2つの軸

1on1ミーティングのテーマを考える際は、
非常に簡単な「2つの軸」を、
頭の中に置いておいたらいい。

「時」をテーマにする

ひとつは時制。
未来と過去(含、現状)。つまり、これから起こすことと、すでに起きていること。

「シーン」をテーマにする

もうひとつは、シーン。仕事のことと仕事以外のこと。

まあ結局のところ、1on1ミーティングにおいて、
話さなければならないこと、
話してはいけないことというのは、

「特にない」

ということ。

話したいこと、扱いたいテーマを扱えばいいだけの話。

1on1ミーティングの目的

そのそも、「何を話すか」は目的による。
1on1ミーティングを仕組みとして運用すると決めた組織は、
必ずその目的を明確にしなければならない。

目的によって「枠組み」が設定される。
その枠組みの中で1on1ミーティングは実施されるべき。
それゆえに、その目的によっては、
仕事のことだけを扱うということがあるかもしれないし、
プライベートだろうがなんだろうが「あり」ということもあるかもしれない。

「1on1で仕事のことしか扱ってはいけない」
という制限をかけるという組織は、
今のところ見たことがない。

したがって、
1on1ミーティングを導入する際に、
明確にその目的を設定し、
周知する必要がある。

それがなければ、
「何を話していいやら…」となってしまうのは、
至極当然の話とも言える。

1on1ミーティングで「話したい」ことって…

この「話したい」というのが曲者。

仕組みや関係性などがネックとなって、
「話したい」ことが浮かばない。

あるいは、
あったとしても口にできない。

そもそも、この時間って、
「プライベートのことなんて話して良いのだろうか?」
ということが明確にわかっていなければ、
話すことに戸惑いが生まれる。

仕組みが明確であったとしても、
「この人に自分のプライベートなんて話したくない」
という関係性であれば、
「話したいこと」と「話したくないこと」の区別が明確に生まれ、
「話したいこと」の領域が極端に狭くなってしまう、
ということもありうる。

というわけで、話したいことを話したいように話すためには、
「仕組み」の明確化と、
日常的な信頼関係の構築が不可欠である。

1on1ミーティングが楽しくなるテーマ〜7つの切り口

上記のことを踏まえて、
どのようなことがテーマとなりうるかを書いていく。

これは正解ではない。
あくまでも組織的に設定された枠組みが大切ということを前提に置きながら、
1on1ミーティングでテーマとなりうる切り口をお伝えしていく。

その1:仕事・業務のこと

本人が担当している業務や仕事の進め方に関する課題を扱う。仕事上のパフォーマンスをダイレクトに向上するためにテーマとする。望む状態やゴールを明確にし、いかに達成していくかを明確にする、あるいは一定期間のプロセスを振返り学びとするためのサポートは、1on1ミーティングのテーマとしては一般的だ。

その2:職場や人間関係に関すること

組織内で気になることについてテーマにする。対人関係などは、特にストレスが強くなることがあり、担当の業務にも支障をきたすことが多い。人間関係の悩みを解消することを通じて、あるいは環境的なストレスの改善によって、パフォーマンスの向上をもたらしていく。または単純にストレスの軽減を促す。

その3:健康について

本人の健康状態を扱う。健康状態というのは、精神的なこともあれば、肉体的なこともある。傾向第一とはよくいったもので、それが損なわれれば仕事どころではなくなる。

健康に関することで課題があるのであれば、改善されていくサポートをしたらいい。

その4:家庭のこと

「仕事と家庭は切り離すのが正しい」という考え方はいまだにあるだろう。仕事には家庭のことは持ち込まない。家庭には仕事のことは持ち込まない。

しかし、頭ではわかっていたとしても、そんなにうまく切り分けられないのが人間だ。どうしようもなく、家庭のトラブルは単純に頭のどこかで「気になっている」ものだ。それが知らず知らずのうちに自分のパフォーマンスに影を落とす。

なにか悩みや課題を抱えているのであれば、まずはそこを改善するサポートをしていくことがおすすめ。家庭のトラブルが解消されることで、仕事のパフォーマンスが上がるというのは、当たり前にあることだ。

その5:キャリアのこと

自分の将来像について明確にするということもあるだろう。どんな仕事をしたくて、どんな人物になっていたくて。どんな価値をもたらしていたくて…。

未来のことを語るというそのものに意味があるし、また、それが魅力的であればあるほどに、本人の生きる原動力となっていく。そしてその未来像と今していることをつなげることができればなおさらだ。

その6:趣味のこと

趣味や日常の充実に耳を傾けるのもいい。その人がどのようなことのモチベートされるのかを理解することは、パートナーシップを取る上で非常に役に立つ。

相手からすれば、そこまで理解してくれる人ということで、心を開く度合いも上がっていく。

その7:信念や価値観に関すること

人生において、どのようなことを大事にしているのか。
仕事において、何を大切にしたいと思っているのか。

過去には、
その人の信念や価値観を知ることができる、
たくさんの情報がある。

  • これまでの人生の中で大切にしてきたこと。
  • 楽しかったことや充実体験
  • 悔しかったことや強い怒りを持ったこと
  • 好きなことや嫌いなこと
  • 感動したこと
  • 作り出した成果や実績でうれしかったこと
  • 印象に残っている出来事

その会話の中から、
その人が大切に感じていることが、
たくさん出てくる。

自分の信念や価値観を、
身近な人に理解してもらえるのは、
非常にうれしいことでもあるし、
相手の信念や価値観を知ることは、
自分がどのように関わればいいかの指標にもなる。

今日のまとめ

今日は、一般的に1on1ミーティングにおいて、
「ありえるテーマの切り口」をご紹介した。

これがすべてではない。

そして…、
いずれがテーマになったにせよ、
これらをなんとか「しゃべらせる」のではなく、
相手が「しゃべりたくなってしまう」、
自発的な状態をつくることが重要。
そしてその関係は一朝一夕ではできない。

根気よく相手の話に耳を傾け、
その言葉を「受容」したり「承認」したりすることの積み重ねによって、
どんなテーマでも1on1ミーティングで扱うことができる関係性が生まれていく。

1on1ミーティングは「なんでもあり」。
ただし、設定された枠組みに基づいて。
相手の業務上のことだけでなく、
人生全般がうまく回っていくことを一緒に喜べるような、
1on1ミーティングを実施していきましょう。

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