意思疎通のためのいろんな言葉

私たちは意思の疎通に「言葉」を用いる。

日本語、英語、中国語、フランス語、イタリア語、アラビア語…、

日本語の中にも、関西弁、博多弁、鹿児島弁、信州弁、津軽弁、南部弁…、

言葉というのは意思の疎通の道具だが、国としては同じ日本であっても、まったく違う言語が存在する。私の大学時代の先輩に、青森出身の人がいたが、実家のお母さんと電話で話をしているときの言葉は、何を言っているのかまったくわからなかった。

その言葉に関する理解があれば、その言葉は共通の道具として使えるし、そうでなければ意思の疎通のための道具としては使えない。

同じ言語の罠

では、共通の言語であれば、ちゃんと通じているだろうか。多くの人は、「ちゃんと通じる」と思い込んでいる。しかし次の言葉(日本語)はどうだろうか?

積極的

主体的

責任をとる

元気

やさしくする

早く走る

この「文字」「言葉」を見て、どのような状態を創造するだろうか。

お気づきと思うが、人によってこの言葉の意味は異なる。あるいは、その文脈や背景によって、この言葉の意味は変わってくる

「積極的と主体的は何が違うんですか?」

という人もいれば、

「積極的と主体的は明確に違う」

という人もいる。

「責任をとる」という言葉について、「大好きだ」と答える人もいれば、「重い」「できれば取りたくない」と答える人もいる。

「緑」というのは、森を思い浮かべる人もいるし、エメラルドを思い浮かべる人もいる。あるいは信号の「青」をイメージする人もいるだろう。

「言葉」として発せられた発信者のイメージと、受信者のイメージは、気をつけないと多くの場合、一致していない。

しかし、人は、この解釈の違いを意識することなくコミュニケーションしている。

コミュニケーションのコツはちょっとしたツッコミ

言葉はもちろん便利。それゆえに、過信しすぎる。前提として、言葉は不完全であることを知っている必要がある。上記のとおり、解釈の違いによる「誤解」が起きやすいことを知っていなければならない。

当たり前に起きてしまう「わかったフリ」。これを止めていく。「わかりきっている」ということも、実はわかっていないかもしれない。

「積極的」って(あなたにとっては)どういうこと?

「責任をとる」って何すること?

「緑」ってどんな緑をイメージしてるの?

などと、「言葉はあいまいである」という前提をもとにツッコミを入れていく。そうすると、意思の疎通が(完璧にはならないが)、より正しい形で可能となる。

きょうのまとめ

コミュニケーションは面倒だったりする。コミュニケーションに充てる時間はできるだけ少なく、行動に移りたいという気持ちもあったり、「あうんの呼吸」なんていう言葉や「一を聞いて十を知る」なんていう言葉が美徳とされるため、多くのことを聴いてはいけないのではないかという遠慮や恐れのようなものもある。

しかし、人はちゃんと言わなければわからない。ちゃんと訊かなければわからない。一を聞いて十を知るというのは、多くの場合勘違い。勘違いによってもたらされた行動やその結果は、修正に時間がかかる。

ちょっと面倒でも、「なんでこんなのわからないんだ」って思われたとしても、コミュニケーションにおいては「それってどういう意味ですか?」ってツッコミを入れることが重要。このちょっとした一手間が、コミュニケーションの効率を結果的に上げてくれる。

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