1on1の研修を実施した際、
このような質問をいただきました。

質問を続けると、相手はプレッシャーを感じてしまうのではないか。
そう思うと、質問しづらいのですが…。

確かにそうですね。

というか、
質問は多かれ少なかれ、
誰にとってもプレッシャーだしストレスなのです。

研修講師でも、
質問をプレッシャー&ストレスに感じる人は、
山ほどいるはずです。

顔に出さないように必死になってたりしますが…。
私も講師の駆け出しのころはドキドキでした。

だからわかるんです。
質問された人の心の内側がどのようになっているか。

「質問に上手に答えられなかったらどうしよう」
とか
「答えたことが正解じゃなかったらどうしよう」
なんていうように。

質問者としてはまったくそんなつもりはなくても、
質問された人はどうしてもプレッシャーを感じている。

でもそうすると気まずい雰囲気になる。
それは避けたい…。

というわけで、
どのように考えたり、
どのように対処したりするのが良いのか、
以下のように回答しました。

この記事を読んでわかること

  • 1on1における適切な質問のしかた
  • 質問するときのいくつかの心構え

こんな方におすすめ

  • 1on1の実践者
  • 1on1を実施する予定の方
  • 1on1で質問のスキルを上げたい方

この記事の信頼性

記事執筆者の半谷知也(はんがいともなり)は

  • プロ講師として企業研修を1,000日以上実施
  • プロコーチとしてコーチングを2,000人以上に実施
  • 関わらせていただいた企業・組織は100社以上
  • リーダーシップの研修を15年以上実施
  • 1on1関連の研修は100回以上実施

人は起きていないことを心配する

今回のケースでいえば、
「私の質問によって、相手がプレッシャーを感じてしまったらどうしよう」

さらに、
「その結果、関係が悪化したらどうしよう」
「相手が傷ついてしまったらどうしよう」
「相手のモチベーションが下がってしまったらどうしよう」
・・・

と、人は、心配を連鎖させていきます。

1on1を実施する際、
このことが起きてくると、
話をきく(訊く、聴く)側からすると、
制約にがんじがらめになってしまって、
そもそも質問することに恐れを感じてしまうことも。

これでは1on1が全く進みません。

そもそも、
相手がプレッシャーを感じる感じないというのは、
その人の捉え方や感じ方にもよりますし、
また、自分との信頼関係の度合いにもよります。

さらに、
その人のその時の心身の状態も影響します。

というわけで、
プレッシャーを全く与えないようにしようというのは、
そもそも無理がある。

質問はそもそもプレッシャー

質問に答えるというのは、
それだけでプレッシャーなんです。

「質問されたら考えなければならない」
「質問には正しく答えなければならない」

「答えが出せないかもしれない」

という状況に、人は大きなストレスが掛かります。

そもそも、1on1における質問というのは、
相手の枠の外側を狙っています。


つまり、
今まで考えたことのないようなことを考え始める。

そのことによって発見や気づき、ひらめきが生まれる。

相手にとって全くストレスやプレッシャーのかからない状態で1on1を続けても、
あまり意味がないということになります。

もちろん、
何のプレッシャーもなく、
ただ相手の話を聞き続けるというスタンスの1on1もあります。

この場合は、一切の質問をしないということです。
その日の1on1の目的とテーマに沿って、
関わりを変えていく必要があります。

プレッシャーをかけないようにするのはやめよう

上記の理由で、
プレッシャーやストレスを全く与えずに、
1on1を実施していくことは不可能なわけです。

もし、プレッシャーやストレスを与えない状態にするためには、
一切の質問をやめるということが必要になります。

(それでも、ノンプレッシャーはありえません)

というわけで、
ある程度のストレスやプレッシャーはかかるよねということは、
理解しておく必要があります。

「かけないようにしよう」

という意識が働くと、
しないようにしないように…、
という意識が相手に伝わり、
それが逆にプレッシャーになります。

また、
「かけないようにしよう」
という意識は、
質問する人の思考を非常に不自由にします。

結果的に、
何も質問ができない、浮かばないという状態になります。

重要なのは、
何のためのストレスやプレッシャーなのかを理解してもらうこと。

重要なスタンスとしては、
「応援しているよ」
「成功を祈っているよ」
ということが相手にわかることです。

実際にプレッシャーを感じていそうなときは…

対面での1on1や、
オンラインで顔が見える状態で1on1をしているときは、
相手がプレッシャーを感じているかどうかを、
察知することができるかもしれません。

相手の様子が気になったら、
その時に初めて対応すればOKです。

「質問されるの苦手?」
「プレッシャー感じていそうだけど…」
「質問攻めになってる?」

というような確認を、
軽い感じでしたらいいです。

重い感じですると、重くなります。

その上で、
改めて、1on1のスタンスや取り組み方、
そして、この1on1の目的を伝えて上げるといいです。

例えば、

  • 気楽に考えてほしい
  • 答えを焦る必要はまったくない
  • 答えを出すことはそんなに簡単なことではないかも
  • どんな答えでもOK

といったこと。

1on1における質問は目的が大事

重要なことなので、重ねてお伝えしますが、
なんせ、1on1というのは目的の意識が大事です。

1on1によって、

  • 応援/支援されている
  • 成長につながる
  • 成功を願ってくれている

という、スタンスが伝わる必要があります。

一方、マネジャーからの質問は、どうしても、
「詰問」
のイメージをもたれやすい。

その場合、相手が感じる目的は、

  • 攻められること
  • 傷つけられること
  • 自分が無能であることを思い知らされること

など

そんなつもりはまったくないのはわかりますが、

相手から見ると、
そのような目的を持っているかのように
感じられてしまうわけです。

だから目的をリセットする必要がある。
リセットしたところで相手が100%信じるかはわからない。

そして、言葉で伝える以上に、
どのように関わっているかによって、
その言っていることが真実であるかは捉えられていきます。

1on1は一朝一夕で関係性をつくるものではありません。
長いプロセスの中で培っていくものでもあります。

だから、
その目的が真実になっていくように、
何より自分自身がその本来の目的を強く信じて、
その目的に沿って本気で関わっていく必要があります。

今日のまとめ

質問されることは、
誰にとってもプレッシャーでありストレスです。

したがって、
質問によるプレッシャーやストレスを、
軽減することはできても、
ゼロにすることはできません。

その質問を乗り越えるとどのようないいことがあるのか、
という輝かしい未来を共にイメージしながら、
質問の答えを考えられるように伴走しましょう。

すべては相手の未来のために。
それが結果的に、自分に返ってくるかもしれませんし、
それが組織の成果に反映されるかもしれませんし…。

いいことは連鎖していく。
そのことを信じて…。

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