1on1ミーティングを機能させると何がいいのか

1on1ミーティングは、定期的に行う部下との面談。上司と部下が対話する時間をつくる。大切なのは

「心理的安全性の向上」

1on1ミーティングに関する研修を実施する機会が増えている。

Googleのプロジェクトでも、社員の心理的安全性を高めることが、組織の生産性を上げるというひとつの結果を導き出した。おそらく、その時流に乗っている。

そもそもGoogleって、マネジャーはマネジャーであって、プレーヤーではない。例外はあるのかもしれないけれど、マネジャーはマネジメントをしている。その切り分けがはっきりしているため、「1on1やりましょう」って言っても抵抗がない。
実際にシリコンバレーの本社で、話を聴く機会があったが、マネジャーの仕事は、半分がインタビュー、半分が評価。こんな話をしてくれた。

日本はプレイングマネジャーが主流

研修をしていると、機能させていくことが大変だという声を多く聴く。日本のマネジャーは、多くの人がプレイングマネジャー。だいぶ変わってきているけれど、ここ10年で日本の企業からプレイングマネジャーがいなくなることはないだろう。
そして、プレーヤーから足を抜かないが故に、当然ながら、「自分がやった方が早い」あるいは「リスクが少ない」という頭が働く。というわけで、プレイする時間や量が増える。マネジメントに充てる時間がなくなる。下は育たない。上の立場に行けば行くほど大変になる。とこの循環になる。

日本で1on1ミーティングを機能させるために必要な3つのこと

日本の企業が1on1ミーティングを機能させるためには、以下の3つのことが必要。
1.組織の風土

2.マネジャーの意識

3.コーチングの知識と技術

組織風土の変化

まず必要なことは組織風土の変化。個人の意識や技術が変化しても、組織の理解がなければ、変革は難しい。1on1ミーティングの話で言えば、「そんなことやっても意味がない」と、特に組織のトップが思っていたとしたら、1on1を浸透させることはもちろん、機能させることは非常に困難だ。

組織全体で、「1on1ミーティング」を意味あるものにしていくためには、組織全体がその意義や価値を理解し、成果を出すことを意図しながらその機会を使っていく必要がある。

マネジャーの意識

前述のとおり、日本のマネジャーは多くの場合プレイングマネジャーだ。例えば、係長とか課長とか、いわゆる「管理職」、マネジメントに携わるようになると、「新任課長研修」などといって、マネジメントの意識ややり方を教えるための研修をするわけだが、実際のところ、どのくらいの変化があるだろうか。

肩書きだけがついて、働き方は何も変わらず、しばらくそのとおりにやっても別に何も言われないから、それを引き続きやっている。その結果、マネジャーのやり方はいつまでたってもわからないということが起こる。

マネジャーの業務をすべき肩書きを身に着けたのであれば、意識とやり方を変えなければならない。

マネジャーの意識をどのように変えるか

これはシンプルだ。「マネジメントするぞ!」って変えればいい。

マネジャーの仕事

マネジャーは「管理する」ということがよく言われるのだが、実際のところ「マネジメント」の意味は「うまくやること」だ。自分の守備範囲のミッションを全うし、組織成果が生まれていくように、うまくやること。そのために管理しなければならないことはたくさんある。

プレーヤー100%であったものを、割合を変えていく必要がある。例えば、6人の部下がいる場合、1on1ミーティングを月に2回30分実施するとしたら、1on1ミーティングのために、月間360分→6時間という時間をつくる必要がある。

月の標準勤務時間は173時間と言われているので、この6時間は、およそ3.5%にあたる。この数字をどのように捉えるだろうか。私から正直なところを言わせてもらえば、「わずか」3.5%だ。でもこの3.5%がつくれない。その分「作業したほうがいい」という意識がどうしても働く。この3.5%をさまざまな未来につなげる意識がどうしても生まれない。

マネジャーが考えるべきこと

1on1ミーティングをすることで、どのようないいことがあるのか。1on1ミーティングの効果は、ほとんどの場合短期的なものではない。長期的に生まれてくる変化によって、長期的な成果を生み出していくことが1on1ミーティングの重要な価値だ。

目先のことで見れば一見無駄に思えるこの時間が将来何を生み出すのかを、自分の頭で考える必要がある。

コーチングの知識と技術

最後はコーチングの知識と技術。部下への関わり方は、多くの場合、「ティーチング」になる。つまり、上司が正しいやり方や知識を一方的に伝えることに終始する。部下は聴くことしかしない。自分の頭で考えない。自分の意見を言ったとしても、否定されるので言わない。この関係が続く以上、1on1ミーティングは形骸化する。部下にとっては苦痛の時間に終わる。

1on1ミーティングを部下のための時間とするためには、部下が自ら考え、自分の意見をしっかり表現するための技術を身に着けなければならない。それが「ビジネスコーチング」。ティーチングは重要だ。同時にコーチングを使いこなさなければ、マネジメントは機能しない。

まとめ

というわけで、今日は1on1ミーティングを機能するために必要不可欠な3つの事柄を紹介した。個人でコーチングの研修を受講される人はたくさんいる。あるいは、組織からの命令で、受講しにくる人も。

個人レベルでスキルを持って帰るのだが、仕組みが整っていなければ、個人の決意だけで機能させることは難しい。

個人のスキルも重要。しかしそれが機能するための環境を整えることも非常に重要。組織の仕組みを動かせるみなさま、1on1が機能するための環境の構築に力を入れてみるのはいかがでしょうか。

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