理念は大事だ。組織をひとつの方向に進める上で必要不可欠。理念とは、組織を束ねる重要なもの。束ねる必要がないと考えているのであれば、理念は必要ない。しかし、2人以上の「組織」をもって何らかの成果を狙うのであれば、絶対に必要。というわけで、本日は理念を紐解いていく。
理念の作成・明確化
理念というのは何を明確にすればいいのか。重要な要素は3つ。これをひとつの文章にまとめている組織もあれば、それぞれを独立したものとして設定するところもある。
3つの要素というのは、
1.使命(Mission)
2.ビジョン(Vision)
3.価値観(Values)
1.使命(Mission)とは何か
使命とは、読んで字のごとく、「命をどのように使うのか」の定義だ。その生命が存在する意味。つまり組織においては、何のためにその組織が存在するのか。その組織は何を担うのか。自分たちは何をする存在なのか。これらを明らかにすることが、「使命」の定義である。
広辞苑の意味
「使命」
①使命として命ぜられた用向き。使いの役目。
②使者。
③自分に課せられた任務。天職。
(引用:広辞苑第六版 岩波書店)
広辞苑の意味で見れば、③が理念における「使命」の意味を表している。
コウビルド英英辞典
「Mission」
①A mission is important task that people are given to do, especially one that involves traveling to another country.
②A mission is a group of people who have been sent to a foreign country to carry out an official task.
③A mission is a special journey made by a military aeroplane or space rocket.
④If you say that you have a mission, you mean that you have a strong commitment and sense of duty to do or achieve something.
⑤A mission is the activities of a group of Christians who have been sent to a place to teach people about Christianity.
(引用:コウビルド英英辞典 物書堂)
コウビルド英英辞典の意味で見ると、④が理念における「Mission」を表している。
組織には必ず「使命・Mission」がある
会社・組織の使命
例えば、「会社」や「企業」というのは、世の中に存在する理由がある。世の中において、何を担う存在なのか。
例えばトヨタ自動車やホンダなどは、「自動車をつくり人々に届ける」という使命は間違いなく持っているが、美味しいハンバーガーを世の中に提供していくという使命は、今のところ持っていない。(トヨタなんかはなんでもやっちゃいそうな気はするけれど…)
マクドナルドやモスバーガーは逆である。「世の中の人々に美味しいハンバーガーを届ける」ことが使命であって、「車の製造」は使命として持っていない。
組織の中の組織の使命
会社は大きくなればなるほど、いろいろな組織をつくっていく。そして、その作られた組織ごとに、使命を帯びている。
「製造部」というのは、ものをつくることが使命。
「品質管理部」というのは、製造されたものの品質を管理するのが使命。
「営業部」というのは、ものを売ること、世の中の人に、製造されたものを届けるのが使命。
その他、総務部、経理部、人事部などの間接部門もある。組織には、必ずより大きな組織において与えられた使命がある。
組織における注意点
特に大きな組織に属していると、人は目の前の使命・ミッションに囚われる。ミッションごとに、いわゆる「縦割り」の意識が生まれる。だから、同じ会社にいるにも関わらず、自分たちの使命で括られた境界線で利害関係を争う。しかし忘れてはいけないことは、より大きなミッションに根差された状態で、今の組織に所属しているのだということ。
「美味しいハンバーガーを世の中の人々に届ける」
わかりやすく極端に言えば、製造は「美味しいハンバーガー」に囚われる。営業は「人々に届ける」に囚われる。製造の気持ちと営業の気持ちは、「戦い」になりやすい。組織においては、目の前のミッションを確実にこなしていくことが重要では在るが、より大きな組織のミッションを、常々意識しておく必要がある。
今日のまとめ
使命・ミッションは忘れがちになる。どうしても人は、目の前のことに一生懸命になるので。それゆえに、大きな組織を束ねるものとして、「使命・ミッション」の明確化が必要であり、そのリマインドが必要。
私たちは世の中にこのことで貢献している。こういう喜びを届けている。大きなところで言えば、その組織に所属する人は、「そのために私は何ができるか」「何をするか」この思考に立ち戻れる拠り所のひとつが、「使命・ミッション」である。
みなさんの組織の「使命」は明確になっているだろうか。