チームコーチングはリーダーの「自分が頑張らなきゃ」を手放す

誤解ないように言っておくと、リーダーは引き続き「頑張る」のだけれど、どうしても「気負う」リーダーは多い。

「自分のが経験が豊かだから…」
「立場が上だから…」
「給料たくさんもらってるし…」
「正しいことやらなきゃ…」
「引っ張らなきゃ…」
「完璧でなければならない…」

役割分担が明確でない中で、闇雲に「頑張らなきゃ」って気負っている人は意外と多い。

しかし、リーダーも人間だ。完璧にはならない。チームであれば、メンバー同士補完し合う必要があるし、それはリーダーという立場であっても例外ではない。

気負っているリーダーの元で起きること

リーダーの意識は、メンバーに伝わる。「完璧でなければならない」と思っているリーダーは、その完璧さをメンバーにも求めたりする。そのように扱われるメンバーは、当然ながら、リーダーにもそれを求めるようになる。立場が違うので、それは倍返しかもしれない。

「言ったことやれよ」
「自分だってやってないじゃん」

といったものの見方が、厳しく返ってくる。

リーダーに対する責任の押しつけ。時に業務の押しつけ。
不満の鬱積。
信頼関係の欠如。
発言量の低下。
などが、最初は見えないところで起き、いずれ顕在化する。

チームコーチングの最初のプロセス

チームコーチングは、ある意味ゼロベースで自分たちの組織について、あるいは自分たちの役割について考えていく。

当然ながら、組織が存在する以上、その組織に対して期待されている役割がある。
製造チームならモノづくり、営業チームなら、モノの販売 など

これはすごくざっくりとした例なので、役割がわかりやすいが、時に組織というのはなんのために存在しているのかわからなくなったりもする。

組織のリーダーはメンバーに対して、明確に自分たちが一体となって取り組む役割を伝える必要があるし、メンバーは全員、それを理解する必要がある。

私たちのチームはなんのために存在しているのか。

チームコーチングはここからスタートする。

チームコーチの役割

チームコーチングは対話を健全かつ円滑に進行していくためのプロセス。メンバーは自分の考えを伝えていく。それが可能となるように、チームコーチは存在するし、そのための枠組みを創っていく。

チームコーチングの場の目的。ルール。まあつまり、思いっきり議論してOKという雰囲気と約束をつくり、そのとおりの場が進行されていくようにハンドリングするのがチームコーチの役割。

(ちなみに「チームコーチング」という言葉を使うかどうかはわからない)

チームコーチは、設定したルールに違反があった場合、それを指摘する。
例えば、「思っていることは口にする」というルールを設定した場合、腑に落ちないような表情でいるメンバーを放っておかない。
「メンバーの意見は否定せずまず受け取ること」というルールがあった場合、そのような拒絶や否定が起きたときは、その状況をフィードバックする。責めたり糾弾したりするわけではない。「ルールに同意しているよね」という事実と「今ルールと違うことしてますよね」ということを認知させるというのが基本的なやること。

これは一例だが、議論や対話のプロセスでは、円滑にいかなくなるさまざまな要因が存在する。それを取り除いていくのはチームコーチの重要な役割。

チームコーチングによって起こる発言・対話

今の組織において、どれだけ対話や議論が適切に行われているだろうか。ここでいう「適切に」というのは、メンバーが考えていることがテーブルに乗り、それが受け取られ、賛同されるかはともかく、理解はされていくということである。

チームコーチングは、「対話のち決定」の繰り返し。基本的にはコンセンサス(全会一致)を狙っていくが、意図は一緒であったとしても、ベストと思うやり方はそれぞれ違ったりもする。だから、各個人が思うベストになるかはわからない。

しかし通常、自分の考えをいろいろな理由で「言えない」「言わない」ということが起こり、その思いや考えを表現しないまま、決定がされていく。「本当はこう思っているのに…」という秘められた思いが、組織の動きを鈍くする。自分の思いと違う言動は、生産性が悪い。

自分の考えを表現した、自分の考えが受け取ってもらえた、あるいは理解されたというのは、大きな前進だ。そのプロセスを経て決定がされると、納得感は高まる。

今日のまとめ

対話や納得は多くの組織において「目的」ではない。目的は価値の創造であり、財務上では利益であり、世の中の役に立つことや人を喜ばせること。

そして対話は、より大きな価値を生み出していくためには必要不可欠。チームコーチングは社会的にはまだまだあまり知られていないけれど、成果を創り出すための対話を促す、ひとつの有効なツールであることは間違いない。

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