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コーチングをやると、自分で考えて、自分で決めるので、主体性は高まる。「やらされ感」ではなく、「自分ごと」として取り組む意識や度合いが高まる。
しかし、そうは言っても、実行に移すとなると、さまざまな心理的、物理的なハードルがやってくる。コーチは、決めるまでの過程で満足することなく、その決めたことが実行に移され、結果をつくるところまでをサポート・フォローしていく。
悪く捉えれば「監視されている」だが、よく捉えれば「応援されている」。この感覚が、実行の確度を高めていく。「監視されている」と捉えられるか、「応援されている」と捉えられるかは、日頃構築しているラポールの度合いによって決まってくる。
決めてもやらないハードル
「決めたことやる!」
私たちは、日々たくさんの選択と決断を迫られる。
言ってしまえば、
「朝起きるかどうか」
ここからすでに選択だ。
ふとんから出たものの、
もう一度入ろうか。
その場合、目覚ましをセットすべきか。
など、いちいち、選択と決断だ。
身近な決め事
自分が決めたこと。例えば、
禁酒する。
禁煙する。
痩せる。
毎日運動する。
勉強する。
本を読む。
新聞読む。
部下の話をよく聴く。
やらない言い訳
そして、やらない理由や言い訳は自分の頭の中でいろいろな形でやってくる。
「明日からでいいかな…」
「一日くらいいいかな…」
「今日は仕事が忙しかったし」
「ストレスが溜まるから」
「頑張ったから今日くらいは自分へのご褒美…」
自分にとって、必要と判断して、一度は決断した事柄も、簡単に揺らぐさまざまな要素は、日常に嫌というほど転がっている。
自分の頭の中では、いつの間にか勝手に優先順位が変わってしまう。
「頭ではわかってはいるんだけど…」
「体が言うことをきかない」
人の無意識は強力だ。
コーチの影響で決めたことの実行度を上げる
コーチが伴走しているから、実行度が上がる。コーチングの効果はいろいろあるわけだが、頭の整理、その後のやることの決定、そして何より、コーチと共有しているということ。
不言実行より有言実行
「不言実行」という言葉があって、私の小学校の先生はこの言葉が好きだった。言わなくてもやらないことがかっこいい。まあ、これもひとつの美学。
でもビジネスで有効なのは「有言実行」だ。
「人前でやると宣言した」という事実。
「関心を持たれている」という状況。
この2つで、ある種のプレッシャーがかかる。
必要なのは「決め続けること」
「やるって言ったじゃんか〜」
人は一度の決断を信じたい。しかし、人は弱い。決断することは簡単だが、決断し続けることは難しい。
今日決めた。
(翌日)昨日決めたことを今日も決める。
(翌々日)一昨日決めたことを今日も決める。
…
と決断は続けていかなければならない。
そして、人はやっぱり弱い。そこでコーチの登場。決め続け、実行に移すことをサポートする。その支援が、毎日の行動をつくり、そして毎日のコツコツとした行動が、今までとは違う結果を創り出していく。
注意すること
必要なのは、「本人が決めたことの支援」なのだが、気をつけないといつの間にか「コーチのニーズ」に変わっていることがある。
「言ったことやれ」というと、いつの間にか本人が決めたはずのことが「やらされ感」に変化してしまうことがある。
だからこそ、常に「目的に帰す」ことが重要だ。
「これって何のためにやるんだっけ?」
ということ。
頭ごなしに「自分で決めたんだからやれ」は機能しない。相手にとって重要な目的から、行動を促していくことを決して忘れてはいけない。
まとめ
ひとりで決めたことを、とにかく頑張るというのは難しいこと。コーチがいるから頑張れる。
「監視」ではなく「応援」。
「大人なんだから、決めたことやれよ」という論理はいつもあるし、その気持ちはすごくわかるのだが、自分に対しても同じように言えるだろうか。無論、そのように律して生きることは理想だ。でも人は完璧にならない。
行動に移したところで現れるハードルはどうしてもある。その前提で、確実にハードルを乗り越えていくために、コーチは存在するということを心に留めておく必要がある。