「会議の進行ってどうやればいいですか?」
という質問をよく受けるので、ポイントをまずは簡単に。

会議の責任者は誰?

会議には責任者が必要。
会議は設定されているが、当たり前のように設定されているので、いつもの曜日のいつもの時間が来たら、なんとなく人が集まり、なんとなく始まってなんとなくいつもの流れで進み、時間が来たら終わる。こんな会議をしている組織は非常に多い。

しかし、会議を効果的に進めるためには、その会議に明確なオーナーシップを持っている人が少なくとも1人以上必要だ。「この会議を成功させるのは私の役割だ」とか「この会議を生産的にするのは、私の責任だ」とこんな意識の持ち主。みなさんが参加している会議には責任者がいますか?その組織の立場的なリーダーが責任者かと言われると、必ずしもそうではありません。

会議の流れ

会議は大きな3つの流れがあります。

会議前→会議中→会議後

この3つのプロセスにおいて、それぞれポイントを抑える必要があります。そして、会議の責任者は、特に、会議前の準備をしっかりとしていく必要があるわけです。準備8割という言葉はよく聴く言葉だけれど、会議の準備に時間を掛けることをどれくらいしているでしょうか。ちょっとした準備で会議の効率は劇的に上がります。というわけで、今回はこの準備のポイントをご紹介。

生産性を劇的に上げる会議の準備

会議に臨む前に、以下の準備が必要だ。
・会議の目的を設定、確認
・適切なメンバーの選定
・役割の決定
・テーマや議題の洗い出し
・議題毎の目的の設定
・適切な時間の設定
・場所の確保
・目的に応じた必要な根回し

・アジェンダの作成と共有

会議の目的を設定、確認

会議を何のためにやるのか、会議のテーマは何か。どのような枠組みでやるのかを確認する。

適切なメンバーの選定

目的、あるいはテーマや議題に応じたメンバーの選定を行う。必要なメンバーがいない、あるいは不要なメンバーがいるという会議は多い。当然ながら、会議に出ているメンバーはコストだ。全ての参加メンバーが、コストに見合った価値を、会議においても創り出す責任がある。

役割の決定

会議における役割は以下のとおり。

・ファシリテーター
・書記
・議事録作成
・タイムキーパー
・発言者
・意思決定者

ちなみに、役割は当日決めてもさほど問題ないが、ファシリテーターは事前に通達しておいたほうが、心の準備ができる。

ファシリテーター

ファシリテーターは、できるかぎり公平で中立である必要がある。会議自体のテーマや議題によって、発現量が増えたり、その議題に関する関連度合いが強かったりする場合は、ファシリテーターは別の人がやることが望ましい。ファシリテーターはその会議の時間通して、ひとりがやるというケースもあれば、議題によっては誰かにファシリテーターを委ねるケースもあるということ。
それゆえに、会議のファシリテーションは、メンバーすべてがやれる状態にしておくと、会議の進行がスムーズになる。

ファシリテーションの詳しいやり方については、別の記事で触れることにする。

書記

会議進行中に発言内容を書き留めていく役割。書記はひとりであることが望ましい。メンバー各自がメモを取っているケースがよくあるが、これはよろしくない。発言はできるだけ忠実に記録されていくことが必要だ。人は発言を自分の都合のいいように受け取る。発言内容(事実)はひとつだが、複数でメモをとると、後で見返した時に解釈が異なることはよくあること。
したがって書記は、全員が共有できる形で発言内容を記録していく。その他の人は、パソコン開いたり、ノートに取ったりする必要がないように、ひとつのツールで進めていく。
・パソコンを使ってプロジェクターなどで移す方法
・ホワイトボードに書いていく方法
・模造紙に書いていく方法
やり方は様々。その組織においてやりやすい方法を選んだらいい。

議事録作成

できることなら、書記が記載したモノをそのまま議事録として活用できるのが望ましい。わざわざ清書をすれば、その際に表現が置き換わることがある。何より手間が掛かる。余計な手間・コストを掛けないことは大事。

タイムキーパー

会議の全体だったり、議題ごとの時間だったりを知らせる役割。時間をコントロールするのはファシリテーターの役割である。決められた目安の時間で会議を進行していくと、メンバーの意識が「時間通りに終えるため」の思考の働かせ方をしたり、意見を言ったりする。

発言者

これが何より大事。「参加者」ではなく「発言者」。参加者というのは、その場にいれば参加者になる。「発言者」という意識を役割として与えることで、参加の姿勢が変わる。ちょっとした違いだが、非常に重要なポイント。全員が役割を持っている。この会議の当事者である。この意識を与える。

意思決定者

会議の意思決定はどのようにするかわからないが、最終的に決断をする人が、議題やテーマによっては必要な場合がある。

役割の兼務

会議の大きさや内容によっては、役割の兼務も考えられる。小さな会議であれば、ファシリテーター兼書記兼タイムキーパーということも十分ありえる。大事なことは、会議が目的に沿ってスムーズに進行すること。役割は柔軟に。

議題の洗い出し

会議の目的に沿って、議題を洗い出す。「何について話をするのか」。議題がひとつの会議もあるだろうし、議題が複数ある場合もある。

議題ごとのゴールの設定

その議題について、どこまで話すのかのゴールの設定が必要。ゴールとは例えば、
・情報共有
・アイデア出し
・意思決定
・振り返りや学び
など

どのゴールを目指して議論に参加するのかがわからないと、人は会議において混乱する。今日はどこまで行くのかということを共有しておくと、心づもりがしっかりとできた上で、会議に参加することが可能となる。

適切な時間の設定

全体の会議の長さ

基本的には、時間は決まっているケースがほとんどだ。なので、その中でどのように時間割するかというのが基本的な考え方だが、議題や議題毎のゴールに応じてすべての内容をやりきるという前提であれば、全体の時間をそれに基づいて設定するというやりかたもある。今日の会議はこの内容なので90分。翌週は内容が少ないから30分。こういう設定も考えられるだろう。

議題の優先順位と時間

どの議題にどのくらいの時間を掛けるのか、目安を決めておいたらいい。あくまでも目安なので、その時間が来たら強制終了とするのでなく、どうするかはメンバーと相談。
その日の会議で、必ず扱わなければならない議題【MUST】とできればやりたいが今日じゃなくても構わないという議題【WANT】の両方がある。その内容によって、時間を使い分けながら、タイムキーパーと協力して時間を有効にコントロールしていく。

適切な場所の確保

会議の目的や内容とメンバーの人数に応じた、適切な場所を確保する必要がある。人の思考は環境に大きく左右される。それぞれメリットがある。広ければ自由な発想を生み出しやすいし、狭いと親近感を生む。無論、それぞれデメリットもある。
部屋の色を使い分けている組織もある。今日は活性化させたいから赤い部屋。今日は落ち着いて話したいから青い部屋。
場所(環境)はなんとなくではなく、可能な選択肢の中から戦略的に選ぶ。

アジェンダの作成と共有

以上、考えた内容をまとめ、アジェンダ(案)として招集するメンバーに共有する。

・日時
・場所
・参加者
・会議のテーマ
・議題と議題ごとの目的
・会議のルールの共有

アジェンダは多くの場合、決まったフォーマットがあるだろう。

必ず議題の追加については質問を添える。

例えば…、
「この議題の他に扱いたい内容がある場合は、必ず会議3日前までに返信すること」

など。

そして、共有された議題について、自分なりの情報やアイデアを持ってくることを促す。このことが浸透してくると、会議の中で準備を始めるのではなく、準備体操を終えた状態で会議にはいってくるので、最初から全力疾走できる。
「ヨーイドンで全力疾走」

この状態をつくることが、会議の責任者(あるいはファシリテーター)の重要な役割。

必要な根回し

議題をスムーズに進行したい場合、障害となりそうな事柄は事前に取り除いておくと、会議がスムーズに行く。反対意見が強そうな人と、事前に質問をしたり、丁寧に説明することを通じて、会議の中での抵抗や反発を和らげたり、なくしたりすることができる。
会議をシュミレーションして、何か問題が起きそうだなと思ったときは、事前にそこにメスを入れておく。

まとめ

さて、本日は事前の準備について記事にしてみました。会議自体がマンネリしていると、準備なんて皆無で会議に突入。
なんか前も同じこと話してたよね。
今日も何も決まらなかった。
意見を言う人が今日も偏ってたね。
など

こういう会議をなくし、その組織にとって効果的な会議を行うためには、準備が不可欠。気づくと3,000文字を超えてしまった。いろいろ大変そうに見えるかもしれないが、会議の準備はせいぜい30分。慣れれば15分で可能となる。

もし8人の会議で90分をやるとしたら、組織としては720分の時間を使うわけだ。その720分の時間を効果的に使うために、準備を30分。4.2%の時間。

そのくらいの時間を、会議を有効に実施するために投資してみてはいかがだろうか。

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