会議をファシリテーションしていく上で、最低限必要なマネジメントのスキルを3つ紹介する。それは「俯瞰する力」「タイムマネジメント」「論理的思考力(ロジカルシンキング)」である。

俯瞰する力

俯瞰するというのは、会議に起きていることや、背景などについて、客観的にものごとを見つめる力のこと。これが欠落していると、ファシリテーションすることは難しい。

アソシエーション(Association)とディソシエーション(Dissociation)

舞台に例えるならば、

アソシエーションは、舞台で演じているひとりひとり。主役は主役の目線で。脇役は脇役の目線でそれぞれ演技をすることとなる。会議の参加メンバーはこのような状態となる。

ディソシエーションは、監督やプロデューサー。舞台の全体を把握し、メンバーがどのような位置にいて、バランスがどのようになっているのかを把握できる存在だ。

ファシリテーターは基本的にディソシエーション

ファシリテーターがアソシエーションすると、そもそも中立で公平であることが難しくなる。そして、全体を統括できなくなる。ファシリテーターは基本的なスタンスとして、ディソシエーションしている必要がある。

ただし、組織内部の人がファシリテーターやる場合は、ディソシエーション100%という状況は難しい。そういう場面があってもいいが、その場合は役割を一度手放す必要がある。

タイムマネジメント

会議において適切にタイムマネジメントするためには、以下のことを考える必要がある。

1.全体時間の意識
2.議題の把握と優先順位
3.MustとWant

4.議題ごとの時間見積もり

1.全体時間の意識

まずはファシリテーター自身が、時間通りに始まり、終わりの時間に終わる意識を持っていることが重要。そして、それを会議の参加メンバーとも共有する必要がある。そのための投げかけ、根回しといった行動が必要。

2.議題の把握と優先順位

以前のブログで紹介したとおり、準備においてアジェンダを作成するが、その中で扱う議題が明確になっている。
その議題についての優先順位は、最終的には参加メンバーで合意していけばいいが、ファシリテーターは、その議題に優先順位をつける力を持つ必要がある。ファシリテーターの案として、優先順位を示す。そのためには、全体の状況を客観的に俯瞰する能力も必要となる。

3.MustとWant

優先順位と合わせて、MustとWant。背景を理解した上で、Mustは「今日のこの会議で必ず扱わなければならない、あるいは何らかの決定をしなければならないもの」であり、「Wantは必ずしも今日でなくとも良いが、できれば扱いたいもの」。これを明らかにすることで、時間管理を適切に行うことができる。

4.議題ごとの時間見積もり

議題ごとにどれくらいの時間を掛けるのか。経験が浅ければ、この見積もりは難しいが、経験を積めば積むほど、精密になってくる。この見積もりは外れても構わない。すべては経験になる。大体の目安として、このくらいの時間で進めますよとメンバーで共有することで、人は議題ごとのリミットを意識し、それをもとに頭を回転させたり、発言したりすることが可能となる。

論理的思考力

ファシリテーターは、物事を論理的に整理する力が必要だ。ファシリテーターがメンバーを納得させる上でも重要だが、何よりも、メンバーが何をいいたいのかを適切に発言させるために、論理的思考力が欠かせない。が、ここではシンプルに2つのことをお伝えする。

結論と根拠

一つはシンプルにこの情報。発言しているメンバーが言いたいことは何なのか。結論をできるだけ先に示させる。そしてその根拠となるものをわかりやすく提示してもらう。ファシリテーターが理解できるかも重要だし、メンバーが理解しているかも確認していく。メンバーが理解できないようであれば、さらにその説明を求めていくことになる。

事実と解釈

メッセージのやりとりをする中で、人は自分が話したいように話す。ファシリテーターが区別する必要があるのは、「事実」と「解釈」。メンバーが話している情報のうち、何が事実で、何が解釈か。

事実とは

事実は、客観的事実である。それは全ての人、あるいはほとんど全ての人にとって「事実」であるため、全員が合意して認められる情報となる。

解釈とは

人は、さまざまな事実情報をもとに、状況を解釈する。その状況はいいのか悪いのか。好きなのか嫌いなのか。人の葛藤が起きるのは、この解釈の相違によって。

事実や前提は隠れている

立場や役割によって、見えている事実は違う。人は全ての事実を把握することは不可能だ。それゆえに、事実情報を明確にすることがより重要となる。誤解が起きたり、解釈の相違によって平行線をたどるのは、隠れた事実や前提があることが多い。

「事実や前提が隠れている」ということを前提に、ファシリテーターは「この人はどのような前提で話しているだろうか?」「共有されていないどのような事実があるだろうか」と関心を向けながら、必要な質問を投げかけていく必要がある。

まとめ

ファシリテーターのマネジメントスキルとして3つを紹介した。他にもあるが、最低限の3つである。

ディソシエーション(俯瞰)して場に起きていることをしっかりと把握。時間をマネジメントしつつ、メンバーの発言を整理整頓していく。

会議を効果的に進行していくのであれば、この3つを使っていく必要がある。得意なことはいつもどおりに能力を使えばいい。苦手なことは意識的に使う、頑張って使う、あるいは勉強→実践してスキルアップすることが必要だ。

最低限の3つのマネジメントスキルを活用して、会議の交通整理を適切にやりましょう。

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