どのような組織においても、
それが企業であっても、
家庭であったとしても、
人材育成というのは、
非常に重要な、そして長期的な課題となる。

そして、
優れた指導者は、
ティーチングとコーチングを、
相手の状況や組織の状況に応じて、
うまく使い分ける。

今日はティーチングとコーチング、
それぞれの概念、
メリット・デメリットについてお伝えしていく。
(ティーチングとコーチングの使い分けについては次回のブログにて…)

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こんな方におすすめ

  • 自分がマネジャーや指導員などの役割を担っている
  • コーチングについて正しい知識を知りたい
  • 自分の指導法に課題を感じている
  • 思うように人が育たない

この記事を読んでわかること

  • ティーチングとは何か
    ・関わり方
    ・ティーチングのメリット
    ・ティーチングのデメリット
  • コーチングとは何か
    ・関わり方
    ・コーチングのメリット
    ・コーチングのデメリット

【前提】人の育成にはティーチングとコーチングが必要

効率的に、最短ルートで、
人が育っていくためには、
この2つの関わりが重要となる。

どちらかだけでは、
どこかで行き詰まる。

しかし、
日本の教育、育成には、
長いこと「コーチング」という概念がなかった。
(少なくとも体系化はされてこなかった)

したがって、
育成のプロセスにおける、
ほとんどの関わりを、
ティーチングで行ってきたということは、
非常に多いのではないかと思う。

自分がされてきた育成を、
今度は自分がする。

教師として正解を考えさせる。
職人として、背中を見て学ばせる。

これが大事なこともある。
しかし、こればかりになると、
人は考えることをやめてしまったり、
モチベーションを低下させたりということが起こる。

ティーチングについて

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ティーチングとは何か

ティーチングというのは、(ここでは)、
以下のような関わりのことを言う。

  • 指示したりや命令をくだす
  • アドバイスをする
  • 要求やリクエストをする
  • 手順や具体的なやり方を示す
  • 知識や技術を教える。

ティーチングにおいて考える主体は指導者

ティーチングをする際に、
頭を回して考え、
情報を発信する主体は、
指導者ということになる。

指導対象者は、
指導者が考えてアウトプットしたことを、
インプットしていく。

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ティーチングのメリット

メリットとして考えられることは大きく4つ。

ナレッジの伝達・継承

組織的に積み上げられた、
正しい知識や経験、
効率的なやり方などを、
伝達していくことができる。

できるだけ早くに効果や結果を出す

指導者が持っている知識や技術、
これまでの経験を基に、
うまくいくであろうやり方や手順を示し、
早く結果を出させて、実績をつくらせる。

リスクを軽減する

経験者の知識を活かすことで、
失敗のリスクは軽減される。

指導者の権威や存在感を示す

豊かな知識や経験は、
「この人すげえ…」
って思わせることができる。

ときにはこういうことも必要だったりする。

ティーチングのデメリット

デメリットとして考えられることは以下の3つ。

依存状態となり主体性がなくなる

ティーチングに偏った指導のやり方になると、
相手の意識が、
「指示を待っていればいい」
「答えは教えてくれるもの」
というものに固まっていく。

思考停止状態となる

受け身指示待ちとなり、
考えることをやめる。

思考回路を働かせない状態が続くと、
考える力が弱くなる。

モチベーションダウン

自分なりの考えを持っていたり、
自分のやり方を試したいと思っているとき、
一方的にティーチングされると、
わかりやすい「やらされ感」状態となり、
モチベーションダウンの要因となる。

コーチングについて

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コーチングとは何か

コーチングは、
相手が自分で考える
相手が自分で答えを出す
相手が決める
相手が実行する
相手が結果を出す
相手が結果を振り返る

というプロセスを支援するもので、
その関わりは、

  • 質問する
  • 傾聴する
  • 承認する
  • フィードバックする

などがある。

コーチングのメリット

コーチングのメリットは、
多くの指導者やマネジャーが、
ほしいと望んでいることではないだろうか。

主に2つ。

考える力がつく

指導者の質問が、
基本的な関わりとなる。

相手は、

された質問を自分なりに考える。

合っていようが間違っていようが、
それが最適解であろうがそうでなかろうが、
とにかく自分なりの答えを出させる。

これは頭の筋トレのようなもの。

考える力は、
その事柄だけではなく、
「自分の頭でまずは考えてみる」
ということをどのような場面でもできるようになる。

この力は、
どのようなビジネススキルにも代えがたいものであると、
私は思っている。

主体性の維持・向上

自分で考えて自分で決めたことというのは、
実行に移される可能性が高くなる。

また、その行動によって出した結果は、
自分の責任であると捉えられやすくなる。

その結果、
相手のモチベーションも維持されやすい。

コーチングのデメリット

ティーチングのメリットの反対なのだが、
以下のようなデメリットが考えられる。

時間がかかる

教えれば数秒で済むようなことも、
質問して、
自分で考えさせて、
答えを説明させて、
というプロセスが必要となるため、
どうしても時間がかかる。

この時間がもどかしい。

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忍耐が必要

時間がかかるとダイレクトに繋がるが、
その時間を待つ忍耐が必要だ。

そして、多くの場合、
答えを言いたくなる。

これが喉から先に出ていくことを、
ぐっと堪える必要がある。

これがまた大変なのだ。

相手が自分の考えとは全く違うことを言ってきても、
まずは受け止める必要があるのだが…、
「なんでそうなる!」
って言いたくもなる。

これも耐える必要がある。

「なるほど、そういう考えもあるね」
「外には?」

って、さらに考えることを、
促す必要がある。

一時的なマイナス(失敗)もある

状況や時間が許すのであれば、
あえて失敗させることもある。

自分で考えて自分で決める。

この決定については、
「これではうまくいかない」
と指導者が確信することもあるかもしれない。

しかし、
本人の学びのために、
相手が考えてそのやり方で、
とことんやらせてみるということも、
ときには必要だったりする。

人からやらされたことではなく、
自分で決めてやったこと、
自分で責任を取らなければならない。

自分で決めて、自分で責任を取るということを、
学ぶことも重要な成長の機会である

今日のまとめ

というわけで、
本日は「育成」するために必要な2つの要素、
「ティーチング」と「コーチング」について、
整理をしてみた。

この両方があるということ、
そして、それぞれのやり方を正しく知らないと、
相手の成長は効率的なものにならない。

そして、
多くの場合、指導者の関わりは、
ティーチングに偏ったものになる。

相手を理解しながら、
適切にコーチングを使っていくことが、
相手の成長を円滑に支援することにつながる。

というわけで次回のブログでは、
どのように使い分けるのかをお伝えする。

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