目次
ラポール(信頼関係)を築く「ペーシング」とは
ペーシングとは、
ペースを合わせることを言う
コーチングにおいては、
ラポールが「命」と言っても過言ではないほど、
ラポールを積み上げることが、
コーチング成功の鍵を握ります。
ラポールについては、
以前の記事で紹介しているので、
詳しくはこちらを御覧ください↓
コーチングの基本:「ラポール」がなければコーチングできない!?
ペーシングの目的と効果
話しやすい。
心地いい。
なんか合う。
を創る。
コミュニケーションをしていて、
「なんか波長が合う人」は、
そのまま話していたいと思ったり、
もっと相手のことを知りたい、
もっと自分のことを知ってほしい、
って思ったりするものです。
コミュニケーションのペースは無意識
人は日常的なコミュニケーションするとき、
自分のペースを意識することはあまりありません。
自分の表情がどのようになっているのか、
自分の声や口調がどのようになっているのか。
つまり、
無意識で自分の心地いい、
あるいは慣れ親しんだペースで、
話をしたり聴いたりしています。
そして、
その無意識のペースが相手と合えば、
「なんか話しやすい」
となるし、
そのペースがずれていればいるほどに、
「この人合わない」
となるわけです。
ペーシングのコツ
ペーシングするコツは簡単。
相手のペースと共通するものを増やすことです。
お近づきになりたいとき、
なんとか相手との共通点がないか、
探した体験はありませんか?
コーチングにおけるペーシングも、
これをやればいいだけです。
ペーシングする要素
コーチングというのは、
コミュニケーションの「技」なので、
ペースを合わせるのは、
コミュニケーションの要素を使います。
コミュニケーションの要素は、
「言語要素」
と
「非言語要素」
を使います。
言語要素と非言語要素の詳細は、
以下のブログにまとめてありますので、
是非こちらをご覧ください↓
コーチングの基礎:非言語要素を磨いてコミュニケーション力アップ
言語要素でペーシング
言語要素というのは、
「言葉」「話の内容・話題」「言葉遣い」
などを合わせるということです。
「言葉」でペーシング
人には、
好きな「言葉(単語)」があります。
あるいは、
その言葉を使われると、
「力付く」
「励まされる」
「心地よい」
というような、
パワフルワードと呼ばれるものです。
また、
単純に自分がよく使う言葉というものもあります。
更には
「価値観」という言葉でも、
表されるかもしれません。
これは人によって違いますから、
よく観察して、
どのような言葉をよく用いているのか、
どのような言葉が好きなのか、
日頃から「関心」を向けて、
相手のパワフルワードを知ることが必要です。
「話の内容・話題」でペーシング
相手の好きな「内容・話題」があります。
私は最近、「釣り」にハマっています。
私と話をするとき、
「釣り」の話をされると、
食いついてしまいます。
私が他に好きなものや関心のある事柄。
例えば、
「スポーツ」
「料理」
「美味しい飲食店」
「酒」(最近は特に日本酒)
「youtube」
「スプラトゥーン」
「キャンプ」
「山登り」
「旅行」
「鬼滅の刃」
など
みなさんがペースを合わせたい人は、
どのようなことに興味を持っているでしょうか?
自分な好きな話題を振られると、
話をしたくなります。
「恋愛」の話で例えればわかりやすいでしょうか?
好きな子や気になる子の、
好きなことや興味があるものを、
何が何でも知りたいと思うし、
共有できるものがたくさんあったら嬉しいと思う。
だから、
共通の話題を探すために、
相手からいろいろと聴いたり、
日頃の言動を観察したりするでしょうし、
好きなものが判明した暁には、
必死にそのことについて勉強したりしませんか?
それはまさに、
「言葉の内容や話題」のペーシングです。
「言葉遣い」でペーシング
敬語
わかりやすい一つの例は、
「敬語」
でしょうか。
年上、目上の人には「敬語」
親しいなかであれば「タメ口」
一般的に常識と言われる範疇はありますが、
これは人それぞれや、
関係性によって基準が異なると思います。
相手に応じて、
敬語を使ったり使わなかったり。
また、その敬語にも、
度合いがあります。
敬語の使い方を間違えると、
信頼関係を損なう可能性があります。
敬語を使うべき人に使わないと、
「無礼なやつ」と見られるし、
必要のない人に敬語を用いれば、
「よそよそしい」と見られてしまう。
専門用語
「専門用語」
というのもわかりやすいですね。
相手の経験や知識レベルによって、
専門用語を用いてOKか、
噛み砕いて説明する必要があるか。
専門知識レベルの高い人に、
専門用語を用いないと、
「まわりくどい」
「バカにしている」
と見られたり、
逆に、
専門知識レベルの低い人に、
専門用語を並び立てれば、
「難しい」
「ついていけない」
となってしまう。
相手の状態に関心を向け、
相手に合わせた言葉遣いをすることで、
ペースが合い信頼関係が増していく、
あるいは、無用に壊さないということになります。
方言
方言もそうですね。
同じ方言同士だと、
話がしやすかったり、
親しみを感じたりするのではないでしょうか?
また、
その地域で過ごしていると、
その地域の方言がうつってしまうということも、
多くの人が体験したことがあるのでは。
私も、
長野県松本市で6年過ごしました。
そのわずか6年の中でも、
方言は普通に使っていました。
私のいとこも、
福島で過ごしたら、
福島の話し方になって帰ってきました。
これは無意識に、
ペーシングした結果かもしれません。
非言語要素<現れ・ふるまい>でペーシング
まずは、
非言語要素の「現れ・振る舞い」
- 表情
- 姿勢
- ジェスチャー・しぐさ
- アイコンタクト
- 服装
など
視覚から入る情報によるペーシングです。
表情豊かに話をする人は、
淡々と無表情で話を聴かれると、
ペースが合いません。
アイコンタクトをしっかりして話をしたい人は、
目を合わせて聴かない人とペースが合いません。
前傾姿勢で意欲的に話をする人は、
ふんぞり返って話をしている人とペースが合いません。
非言語要素<声・口調>
そして、
非言語要素の「声・口調」
- 大きさ<大きい・小さい>
- 速さ<早口・ゆっくり>
- トーン<高い・低い>
- 間のとり方
など
早口の人は、
ゆっくりの人をじれったく感じたりします。
声の小さい人に、
大きい声で話をすると、
威圧感を感じるかもしれません。
非言語要素<距離・空間>
距離感
人は、
パーソナルスペースというものを持っています。
一般的には、
手を伸ばした範囲程度が、
パーソナルスペースと言われています。
そのパーソナルスペースに入れる人は、
限られているということ。
まあつまり、
コミュニケーションをするときの、
適切な距離感があるということです。
配置
好みの配置もあります。
例えば2人で、
カウンターで食事をしたり、
お酒を飲んだりしているときに、
お決まりのサイドはないでしょうか?
右側に座るのが好きとか、
右耳で相手の話を聴きたいとか、
自分にとってしっくりくる、
自分のポジションというものがあったりします。
※なかったりもします。
私が妻と食事をするときは、
私が右で妻が左と決まっています。
なぜならば、
私は右利きで、妻は左利き。
逆だと箸を使う手がぶつかります。
人の好みには、
いろいろな要素があるので、
よくよく興味・関心を向けて、
相手を観察しながら、
相手のことをより深く知るように心がけましょう。
ペーシング実践のコツを2つ
そうはいっても、
コミュニケーションの要素は、
上記で紹介したとおりたくさんあって、
全部合わせるのは不可能です。
そこで、
おすすめの取り組み方を2つ紹介します。
ペーシング実践のコツ1:ギャップが大きいもの
相手を観察していると、
相手のペースに気づくと同時に、
自分のペースとの違いもわかります。
その中で、
特にギャップの大きいものを一つ選び、
まずはそれだけ合わせてみること。
それだけでも、
相手は今までとの違いを無意識に感じ、
「何か話しやすくなった」
という感覚を得ると思います。
ペーシング実践のコツ2:相手にとって大事な要素
これは前述しましたが、例えば、
「人と話をするときは目を合わせるべきだ」
って強く思っている人がいたら、
アイコンタクトが苦手であったとしても、
「頑張る」ということです。
例えば相手が、
表情の変化を気にかける人だとしたら、
相手の話の内容に合わせて、
感情を表情に出すと、
相手はそれだけで安心感を増すことができるでしょう。
相手にとって大事な要素を特定し、
それを合わせてみること。
これだけでも、
相手からみた自分の印象は大きく変わります。
今日のまとめ
ペーシングは、
はっきり言って地味なテクニックですが、
ラポールを形成する上で、
非常に役に立つ、効果のあるスキルです。
「苦手」って思っているあの人に、
ちょっと試してみませんか?
ペーシングの連続で、
数カ月後には大きく関係が変わっているかもしれません。
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