コーチとして仕事をしていると、想像以上に「メタモデル質問」を使う場面と遭遇する。特に多いのは、少ない「事実情報」でそれがすべてであるかのように捉え、自分の中で強い判断や決めつけをしているケース。そこからつくる因果関係。そしてそれはすでに固定化されており、自分自身では変化させるのが困難な状態になっている。

この1ヶ月で実際にあった会話の一例とメタモデル質問

(1)彼はいつも暴走する。
→彼って誰ですか?(不特定指示詞)
→いつもって毎日、四六時中ですか?そうでないときはありませんか?(普遍的数量詞)
→暴走するって何をどのようにしているのですか?いつ、どのような場面で何をしていますか?(不特定動詞)
(2)彼の暴走は、もう誰にも止めることができない。
→彼はどのように暴走していますか?(名詞化)
→誰にも止めることができないというのは、誰がどのように判断していますか?(ロストパフォーマティブ)
→本当に誰も止めることができませんか?(普遍的数量詞)
→止めたら何が起きますか?(可能性の除法助動詞)

(3)組織のトップがコントロールすべき。
→コントロールするというのは何をどのようにすることですか?(不特定動詞)
→コントロールしなかったら何が起きますか?(必然性の除法助動詞)

(4)社員はみんな不満に思っている。
→社員とは誰のことですか?(不特定指示詞)
→みんなは本当にみんなですか?例外はありませんか?不満に思っていない人は1人もいませんか?(普遍的数量詞)
→不満というのは誰が何を言っていますか?感じていますか?(名詞化)

組織のコミュニケーションにおけるメタモデル質問の効果

1.具体的な情報の共有を促す
ビジネスマンは忙しい。「十分に時間をとってコミュニケーションをするのは時間がもったいない」と思っている人も少なくない。したがって、少ない情報を元に、持っている知識や過去の経験からさまざまなことを推測し、解釈するし判断する。しかし、不十分な情報のやりとりは、いとも簡単に誤解を生じさせる。
削除・歪曲・一般化された会話を回復していくことで、(完璧にはならないが)より適切な情報のやりとりを促し、より正確な情報の共有が生まれていく。

2.気づきや発見を促す
自分の情報が不十分であったことや、間違っていたことに気づく。自分が決めつけてしまっていたことに気づき、自分の解釈を修正できる。思考が変わると言動を変えることが可能になる。

まとめ

メタモデル質問は、かなり有効だ。が、信頼関係がなければ、ただのうざい問いかけになってしまう。質問に答えるというのは、人にとってストレスだし、「自分は間違っていた」と認めることはもっとストレスだ。そのストレスを乗り越えてもらうためには、「このコーチの質問には答える価値がある」「ちゃんと答えたい」と思うに足る存在である必要がある。