目次
こんな方におすすめ
- 自分がマネジャーや指導員などの役割を担っている
- コーチングについて正しい知識を知りたい
- コーチングや1on1をやっているがうまくいかない
- 自分の指導法に課題を感じている
- 思うように部下/メンバーが育たないと感じている
- 自分の聴き方に自信がない
この記事を読んでわかること
- コーチングにおける傾聴とは何か
- 傾聴の効果
- コーチングにおける傾聴のやり方
「傾聴」ってどういう状態?
コミュニケーションに関連する、
「きく」という漢字は、
主に3つ存在します。
「聞」
「聴」
「訊」
傾聴は「聴」が使われています。
「訊」は「訊ねる」なので、
コーチングのスキルとしては、
「質問」のことですね。
これはまた別の記事にて。
「傾聴」辞書の意味は?
まず辞書の意味を見てみましょう。
けい-ちょう【傾聴】
耳を傾けてきくこと。熱心にきくこと。
「ーに値する意見」
出典:広辞苑第6版(岩波書店)
ちなみに、
「聞く・聴く」は、
広辞苑では同じ意味として紹介されています。
こちらの意味も掲載しようと思いましたが、
思いの外、意味がいろいろあり長いので、
是非ご自身で調べてみてください。
コーチングにおける「傾聴」は?
基本的には、
辞書と一緒ですね。
耳を傾けて聴くこと。
熱心に聴くこと。
ということで、
この辺をさらに2つのポイントに切り分けて、
説明していこうと思います。
コーチングの傾聴では、
辞書の意味をそのまま実践して、
その与える影響や結果が重要となります。
話を理解する(言語要素)
耳を傾けて、
熱心に聴いたけど、
相手が言っていることが全く理解できていない、
あるいは、
伝えたいことと受け取ったことが違う、
ということでは、
傾聴の意味がありません。
話し手が伝えていることを、
話し手が伝えたかったように理解する。
※ただしそのためには、
他のコーチングスキル、
質問や確認などを使う必要も出てきますが…。
内容を正しく理解するように聴くこと。
これがまず大事なことです。
話し手が満足する(非言語要素)
もう一つ、重要な「結果」
傾聴の結果、
話し手は、
「興味もってくれたな」
「関心を向けてくれているな」
ということを感じ取ります。
表情や姿勢で読み取る
そして確認。
内容は理解してくれたけど、
自分や自分の話に
興味を向けてくれているのかわからない…
という状態では、
「ちゃんと聴いてくれた」
という状態になりません。
なお、
言語要素と非言語要素については、
別の記事で紹介しています↓
コーチングの基礎:非言語要素を磨いてコミュニケーション力アップ
傾聴もやっぱり「あり方」は大事
「どうやるか」の前に、
「どうあるか」
こちらの意識や姿勢は、
相手に伝わる。
というわけで、
興味関心を全面的に相手に向けて、
相手の発言を100%尊重して、
それは自分の意見や考え方とは違うけど、
相手が大切にしているものなのです。
傾聴の効果
傾聴の効果は主に2つ。
信頼関係を深める
自分に興味を向けてくれている。
自分の話を親身に聴いてくれる。
自分のことをわかってくれている。
身も心も相手に寄り添い、
傾聴を正しく行っていると、
ラポールが深まっていきます。
※ラポールについてはこちらの記事をどうぞ↓
コーチングの基本:「ラポール」がなければコーチングできない!?
ラポールは、
コーチングをする上でも、
組織運営する上でも、
大きな土台、鍵となります。
深くて広くて正しい相互理解
ちゃんと聴いていると、
正しい理解に繋がります。
お互いのことを理解していると、
当然ながら連携はスムーズになり、
弱みの補完なども適切に行うことができる。
相互理解がしっかりされている職場は、
非常に働きやすく居心地がよい。
傾聴はバッティングではなくボールをキャッチ
自分の大事にしていることは、
共感してもらえなかったとしても、
認めてはもらいたいものなのです。
なので、まずは受け取る。
否定や批判をするのではなく、
「なるほど」
「そういう考えなのね」
と受け取る。
キャッチボールで例えれば、
「キャッチする」のです。
誰もが嫌がるバッティングコミュニケーション
バッティングコミュニケーションというのは、
ボールを打ち返されるイメージです。
何か意見を言うと必ず、
「でもそれはさ…」
と否定や批判、
あるいは反論が飛んでくる。
あるいは、
話し終わっていないのに、
途中で遮られて話を被せられる。
いつも打ち返されていると、
人の心は萎えていきます。
※まあ、それに耐えうるだけの、
根性と忍耐を身に着けろという価値観の人は、
いるとは思いますが…。
誰もが嫌がるドッチボールコミュニケーション
傾聴とは少し毛色が違いますが、
何でもかんでも、
「ぶつける」ことを意図したコミュニケーションを、
仕掛けてくる人もいます。
つまり
「言い方が攻撃的」
そんな言い方しなくてもいいのに。
内容は正しくても、
「言い方」で傷つけられる感じです。
傾聴のテクニック5つ
傾聴テクニック1:目・顔・身体を向ける
コミュニケーションの基本です。
相手の方を「見る」ということです。
目も、顔も、身体も自分の方を見てくれている。
これは、
自分に対して100%意識が来ているという表れになります。
パソコンと向き合いながら、
部下の報連相を聞いている上司の姿は、
残念ながらよく見かけますね。
想像に難しくなかったり、
一度は経験があったりするのではないかと。
視線の向きは関心の表れ。
そして、
目だけが自分を見ている。
顔だけが自分を見ている。
この状態はどうでしょうか?
これもちょっと怖いですね。
できることなら、
目、顔、身体、
すべてのパーツを、相手に向けましょう。
傾聴テクニック2:うなずき・あいづち
これは非常に簡単な傾聴テクニックであり、
相手の安心感や自分に向けての信頼も、
格段にアップします。
うなずきもあいづちも、
「聴いてるよ」
ということを相手に示す行為です。
うなずきは、
首を立てに動かすので、
視覚に合図を送っています。
あいづちは、
短い言葉を使った、
「聴いてますよ」のサインなので、
聴覚に影響を与えます。
あいづちの一例
ああ、いいね、うん、ええ、おー、おいおい、
はい、はぁ、ふんふん、ふーん、へぇ、ほぉ、
なるほど、たしかに、
そうだね、そうだよね、そうなんだね、そだね
など
あいずちは、
言葉の内容や、イントネーションによって、
その意味が変わります。
同意や賛同、疑問、促進など、
あいづちには、さまざまな使い方や効果があります。
あいづちの注意点
あいづちは、
ワンパターンだと、
「逆に聴いてくれていないのではないか」
と、
相手を不安にしてしまうことがあります。
話の内容に適したあいづちを使うよう、
心がけましょう。
傾聴のテクニック3:キーワードの繰り返し
これは、
相手の話の中で、
「おそらく大切な言葉だな」
と思う言葉をキャッチして、
言葉にしていくやり方です。
キーワードの繰り返し例
Aさん:「高校では野球をやってたんだよね」
Bさん:「へー、野球をねー。ポジションは?」
Aさん:「ピッチャーをやってたよ」
Bさん:「ほぅ、ピッチャー」
…
とこんな感じ。
キーワードの繰り返しの効果3つ
- 聴いてくれてる実感up
あいづちやうなずきというのは、
実は聴いてなくてもできちゃいます。
しかし、
キーワードの繰り返しは、
聴いてなければ絶対にできません。
相手は無意識に、
「ちゃんと聴いてくれている」
という実感を得ることができます。 - 聴き手の記憶up
聴き手はキーワードを繰り返すので、
相手が何を話していたのかを、
覚えやすくなります。 - 相手の確認
話し手は、
自分が発した言葉を、
もう一度自分の耳で聴くこととなります。
自分が話したことの確認になったり、
次の話の展開を生み出しやすくなったりします。
傾聴のテクニック4:感情キャッチ
感情キャッチというのはそのままですが、
気持ちを受け取るということです。
人は、
「気持ちをわかってもらえた」
ということが、嬉しい感情や安心の感情に繋がります。
感情キャッチのやり方3つ
- キーワードの繰り返し
相手が感情の言葉を言うことがあります。
例えば、
「いやー、本当にうれしかったよ」
って言ったら
「それはうれしいよねー」
と繰り返す。
あわせ技です。 - 話の内容から推測
相手が感情の言葉を言わなかったとしても、
相手の話の内容から
気持ちや感情を読み取れることがあります。
「それは悔しかっただろうね」
「それは寂しいよね」 - 非言語を読み取る
話しを聴きながら、
「表情が嬉しそう」だったり、
「声が怒って」いたり、
ということを読み取ることができます。
その様子を伝えます。「顔からうれしさが吹き出してるよ」
「声が怒りに震えてるもんね…」
傾聴のテクニック5:沈黙
最後のテクニックは、
沈黙です。
最後ですが、
ある意味最も重要な傾聴のテクニックかもしれません。
基本的には、
質問の後の沈黙ということになるかと思います。
そして、ここまでもかなり長文になっており、
「沈黙」は重要なキーポイントでもありますので、
別記事で紹介することといたします。
傾聴のスキル「沈黙」の記事はこちら↓
今日のまとめ
傾聴は、
すべてのコーチングスキルにおける1番手。
これがなければ、
外のスキルは機能しません。
だって、
ちゃんと聴いてくれない人の質問に、
しっかり答えようって思わないですよね?
「ちゃんと聴いてくれていない」と判断されると、
ラポールが壊れていくわけです。
※ラポールについては、
前々回の記事で紹介しています↓
外のスキルもしっかりと機能させるためにも、
まずは、
相手の話をしっかりと聴きましょう。
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