先日のブログで、キャリアを描くことの利点と、キャリアを描くプロセスに生じる障害をテーマに書いた。まあ、それゆえに、ひとりでキャリアを描くことそのものをしないし、描きはじめたとしても、「まあいいか」ってキャリアを描くことを止めてしまうきっかけや自分自身の心の声はたくさんある。
だから、描いたあとのサポートはもちろん必要なのだが、描く過程においても伴走者がいることが望ましい。
企業におけるコーチは上司や先輩
では日本という国において、世間一般的に、個人でコーチを雇い伴走してもらうというのは、今のところあまり現実的ではない。コーチングというものが十分浸透していないということもあるし、コーチといえばやはりスポーツの世界のことであり、ビジネスのことではないという意識がまだ根強くある。(だいぶ変化はしてきたけれど…)
企業や組織に属していれば、その関わりの中でコーチとクライアントの関係をつくれることが望ましい。とりわけ、「上司」や「指導者・教育係」といった立場は、仕組みとして関わることが前提となっている状態であるため、「コーチ」として機能しやすい関係性であることは間違いない。
キャリアには興味がない上司や先輩
上司や指導員のミッションは、組織の管理であり、後輩の指導であるため、キャリアを支援するということとなかなか結びつかない。興味があるのは、業務の遂行や短期的な育成のビジョンであり、その人の本来持っているキャリアには関心を向けないことが多い。
人のキャリアだけではなく、自分自身のキャリアにも、あまり関心を向けないかもしれない。実際、人の育成に携わる管理職(一般的には部長〜係長)層や、若手を育てるメンターという立場にある人に、「あなたのビジョンは?」「あなたの将来のキャリアをどうしたいと思っている?」と問いかけると、言葉につまるケースがほとんどだ。
先日のブログで書いたとおり、キャリアを考える習慣がないのは、上司や先輩も同じだったりする。だから、階層的には、より上流の人がキャリアやビジョンを描き、下の階層にいる人達に自分のビジョンやキャリアを伝え、その相手のビジョンやキャリアを聴く、対話の機会を設ける必要がある。
管理職や指導員はコーチングが必須
コーチングというのは、一言で言えば「考えを引き出しパフォーマンスを向上するコミュニケーションの技術」である。相手は「やらされ感」で動くのではなく、主体的な発言や行動へと変容していく。
組織の動きというのは、時には「やらせる」ことは必要となる。トップダウンで指示を出し、早急に状況対応を迫られることはあるからだ。
そして、そのことと同時に、コーチングを適切に用いることを通じて、組織メンバーの心を掴んでいく。そして、今回のテーマである「キャリア」について、部下や後輩が描くサポートをしていくためには、やはり「コーチング」の技術は必要だ。
コーチングは上司部下や先輩後輩の関係性だけで起きるわけでもない
コーチングというのは信頼関係さえあれば、どのような関係においても機能する。部下が上司をコーチングするということもあっていい。同期同士でコーチングをするということもあるだろう。コーチングの技術を学んでおくと、実にたくさんの周りの人を支援することが可能となる。
今日のまとめ
キャリアを描くためには、多くの人にとってサポートが必要である。そしてそのサポートをしてくれる人が身近にいて、さらに気軽に声を掛けられることが望ましい。
企業や組織の人を支援する立場にある人がコーチングを学び、その技術を用いてキャリアを描く手伝いをできるのであれば、これだけ心強いことはない。
是非コーチングを当たり前の言語や文化にしていきましょう。
というわけで、次回はキャリアコーチングをどのようにやるのかに言及していこうと思います。