「コーチ」の存在は、
スポーツの世界にとどまらず、
最近ではビジネスの世界でも、

パフォーマンスを最大化するために必要な存在として、
認知されてきている。

コーチングというのは、
いわば「コミュニケーション」のツールであり、
どのような知識や技術を持ち、
それを駆使するということが、
コーチングの成功につながることは言うまでもないが、
今日は、もうひとつ重要な要素である、
「コーチのあり方」について触れていきたいと思う。

スポーツの世界でも、ビジネスの世界でも、
優れたコーチは、
「あり方」
が素晴らしい。

ここでいう「あり方」というのは、

  • 意識
  • 心構え
  • ものの見方や考え方
  • その人のスタンス

などのことを言う。

コーチのあり方(バスケ)

こんな方におすすめ

  • コーチングや1on1を実践している
  • 部下やメンバーを育成する立場にある
  • コーチングうまくやりたいと思っている

この記事を読んでわかること

  • 「あり方」とは何か
  • 「あり方」がなぜ重要なのか
  • コーチの「あり方」として重要なこと

コーチングがうまくいくための一流コーチ5つのあり方

  • 関心
  • 尊重
  • 信頼
  • 一貫性
  • 責任(おまけ)

この並びは優先順位ではない。
どれも同列で大切。
というわけで、ひとつひとつを解説。

一流コーチ5つのあり方その1:関心

これは非常にシンプル。
相手に、興味・関心・好奇心を向けるということ。

「知りたい」
「理解したい」
という気持ちが、
相手の心と頭をオープンにしていく。

この気持ちがあると、
「質問」が湧きやすくなるし、
「傾聴」はスキルを知っていなかったとしても、
それなりの聴き方になるはずだ。

人には必ず、
人それぞれの好奇心が備えられており、
人それぞれの好奇心の向けどころがある。

人の好奇心の向きどころはいろいろ

みなさんの関心の向けどころはどこだろうか?

映画?
お酒?
スポーツ?
食べること?
お金?
ゲーム?
政治経済?

自分が何に興味を持っているのか、
実はあまりわかっていないかもしれない。

子どもの興味/関心/好奇心

コーチングでは好奇心を人に向ける

そして、
対ヒトに対しても、
関心が向きやすい人と、
そうでない人がいると思う。

接する人や身近な人のことをたくさん知って、
できるだけ人と繋がりたいと願う人もいれば、
できれば自分の世界にこもりたいという人もいる。

それがいいとか悪いという話ではない。
人のそもそもの欲求は、
否定されるべきではない。

しかし、
「コーチングにおいて」は、
「意識的に」
自分の好奇心を、
その相手(コーチング対象)に向けましょうということ。

関心を向けると質問が湧いてくる

ここで「時制」を切り口に、
相手に関心を向けたときの、
考えられる質問を挙げてみる。
ほんの一例ですが・・・。

その人の「今」について質問

  • 「今」はどんなこと考えているんだろう
  • この人の仕事の「現状」は?
  • この人のプライベートの「現状」は?
  • 「今」大切にしていることはなんだろう
  • 「今」何が好きで何が嫌いなんだろう
  • 「今」の自分の強みや弱みをどのように考えているのだろう
  • 「今」楽しいことはどんなことがあるんだろう
  • 「今」辛いことや悩んでいることはなんだろう
  • どんな人間関係に囲まれているのだろう

その人の「過去」について質問

  • これまでどんな人生を歩んできたのだろう
  • どんな知識やスキルを身に着けてきたのか
  • 「過去」のうれしかった体験はどんなことだろう
  • どんなことが印象に残っている出来事なのだろう
  • 「過去」に乗り越えたことやチャレンジしたことはなんだろう
  • どんな子ども時代だったんだろう
  • 学生時代は何をしてきたのか
  • 強い興味や関心を持ったことはなんだろう

その人の「未来」について質問

  • どんな人になりたいんだろう
  • どんな能力を身に着けていたいのだろう
  • どんな仕事をしていたいと願うのだろう
  • どんな影響を与えていたいと思うのだろう
  • 立場や地位で望むことは
  • 誰と一緒にいたいのだろう
  • どこで暮らしたいのだろう
  • 将来の楽しみはなんだろう
  • どのくらいのお金がほしいのだろう
  • そのお金で何をしたいのだろう

わかっていそうでわかっていない相手のこと

相手のことを知っているつもりでも、
知らないことは山ほどある。

人は考え方を変えるし、
自分でも気づいていないことが、
やはり山ほどある。

一流コーチ5つのあり方その2:尊重

これもシンプル。

自分のことを尊重すること。

相手のことを尊重すること。

相互尊重

まずはコーチが自己尊重

コーチは、
自分の世界観をしっかり持っておく必要がある。

自分の世界や、自分の考えを、
しっかり尊重している人は素敵だ。
コーチングされる相手だって、
自分の世界に自信を持っている人に、
コーチングをしてもらいたいと願うだろう。

逆に、
「自信ないっす」
という人に、
コーチングなどされたくない。

コーチは、
自分の世界や考えをしっかり持っている人。

そういう人からの質問だから、
答えたいと思う。

そういう人だから、
話をしっかり聴いてもらいたいと願う。

そういう人だから、
承認されると心から嬉しい。

そういう人だから、
フィードバックを受け取ろうと思う。

そして相手を尊重

人はいろいろ違う。
知識やスキル
経験
ものの見方や考え方
世界観

当たり前だけど、
コーチと相手の考え方は、
全然違うかもしれない。

自分と違うと、
批判や指摘の対象となることがある。

しかしどうであっても、
まずは相手の世界を、
受けとり理解することが重要。

「なるほど、どういう考えなのね…」
ということ。

そしてこの際、
相手に合わせる必要はない。

共感できないことを、
共感しようということでもない。

倫理的に正しくないことがあるかもしれない。
その場合は、
否定や批判したり、
その考えを正そうとする前に、
どうしてそのような考えに至っているのか、
その背景に興味を向けるのが、
コーチの大事なあり方である。

一流コーチ5つのあり方その3:信頼

これもシンプル(全部シンプル!?)

相手を信じるということ。

コーチングというのは、
信頼関係(ラポール)が重要となり、
相手からの信頼を得られなければ、
コーチングはまったく役に立たない。

相手の信頼を得るためには、まず自分から。

相手を信じることから始める。

相手が言っていることを信じる。
相手の未来を信じる。
相手の可能性を信じる。
相手はやると信じる。
相手の能力を信じる。

とにかく信じる。

信頼・絆

一流コーチ5つのあり方その4:一貫性

言行一致

コーチという存在は、
伴走者であり、
ときに一歩先ゆく「モデル」となる。

それ故に、
言ったことやる存在である必要がある。

背中を見せるということ。

ここが揺らぐと、
やはり重要な「信頼関係」が揺らぐ。

相手のビジョンに一貫する

相手が望んでいることに、
一直線である必要がある。

相手は揺らぐことがある。
壁にもぶつかるし、挫折も味わう。

そんなときに、
自分が望んでいたビジョンを示してくれて、
「あんたならやれるよ!」
と一貫して言ってくれるコーチの存在は、
何よりも力づよい。

「この人が言ってくれているのであれば、
やれる気がする…」

こんな力付を与えてられるのが、
一流のコーチである。

コーチの力づけ

一流コーチ5つのあり方おまけ:責任

ちょっと迷ったのが責任。

コーチの責任は、
相手に責任を取らせることであり、
コーチが責任を請け負うことではない。

相手の責任というのは、

  • 考える責任
  • 答えを出す責任
  • 決める責任
  • 行動する責任
  • 結果をつくる責任
  • 結果に対応する責任

この辺を勘違いすると、
コーチが上記6つの責任を取ろうとする。

そうすると、
コーチングは機能しない。

もちろん、
コーチングを通じて、
結果を作らせることができなかった責任は、
発生することになるだろう。

それはコーチも、
受け止めなければならない。

ただ、
相手が取るべき責任を引き受けてしまうと、
コーチングでつくられるべき重要な、
「主体性」
という要素が、
削がれてしまう大きな要因となる。

コーチのあり方がブレるとやり方は必ずブレる

例えば、
「信頼」が揺らいだとしよう。

「この人はどうせやったってうまく行かない」

つまり、
心の中で相手を信じていない状況。

ここに陥ったコーチが、
優れたコーチングの技術を発揮できるだろうか?

聴き方は適当になり、
質問は浮かばず、
適切に相手の支援ができるとは思わない。

そして、
そういうコーチの態度は、
どこかで相手にバレる。

そうすると、
相手からの信頼が揺らぐことになる。

結果、
コーチングは機能不全に陥る。

コーチのあり方はやはり重要だ。

そうは言っても揺らぐコーチのあり方

かく言う私も、
完璧にはならない。

ただ、
意識をしていると、
そうでいられる時間は確実に長くなる。

あるいは、
そうでないときに、気づくことができる。

気づけば選択ができる。

すべての人が、
コーチである前に人間なので、
反射的なさまざまな反応は出てしまう。

しかし、
一時的に揺らいだとしても、
すぐにあるべき姿に戻れるのならば、
それほど問題にはならない。

今日のまとめ

というわけで、
コーチのあり方を紹介した。

コミュニケーションやビジネスのスキルは、
どうしても「やり方」にハマる。

どうすればうまくいくのか。
どういう流れでやるのか。
どういうテクニックを使うのか。

しかしそれ以前に、
考えなければならないことがある。

どんなに素敵な知識や技術を持っていたとしても、
あり方が歪んでいたら、
その知識や技術は役に立たない。

優れたあり方の上に、
鍛えたやり方が成り立ち、機能する。

共に、あり方を鍛えていきましょう…。

コーチのあり方

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