本日は、1on1研修を実施してきました。

対象:役員〜マネジャー層。
業種:精密機器
従業員数:3000〜4000人

講師のデモセッションとして、
10分程度の1on1セッションを実施しましたが、
その際に質問をいただきました。

「そのようにポンポンと質問が出てこない。
質問に詰まってしまうときにどのようにしたらよいか?」

とのことでした。

同じように、
質問に詰まる「恐怖」を感じて1on1をされている方は、
結構多いのではないかと思います。

というわけで、
その考え方についてご紹介します。

この記事を読んでわかること

  • 1on1の質問に関する考え方
  • 1on1で質問が出てこないときの対処

こんな方におすすめ

  • 1on1を実践している方
  • 1on1において困っている/悩んでいる方
  • 1on1においてより効果的な質問をしたい方

この記事の信頼性

記事執筆者の半谷知也(はんがいともなり)は

  • プロ講師として企業研修を1,000日以上実施
  • プロコーチとしてコーチングを2,000人以上に実施
  • 関わらせていただいた企業・組織は100社以上
  • リーダーシップの研修を15年以上実施
  • 1on1の研修を100回以上

質問のテクニックの前に大事なこと

研修に参加をすると、
どうしても「スキルやテクニック」のことに焦点があたる。
「どうやればうまくいくのか」

でもテクニックの前に大切なことがある。
それは「考え方」「意識」つまり、「あり方」。

1on1の中で、適切に質問をするために、
以下の2つを意識するといい。

矢印を相手向きにすること

質問に限らず、
1on1やコーチングにおいて、
超重要であることは、
自分の好奇心という強みを使って、
「相手に興味関心を全面的に向けること」

テクニックにそれほど頼らずとも、
相手に本物の興味関心を向けていると、
1on1に必要なスキルは、
結果的に駆使されていることになる。

1on1のスキルとしてお伝えする代表的なことは、例えば、

「傾聴」とか「承認」とか「質問」。

相手に興味関心を本当の意味で向けていれば、
よく聴くし、共感もするし、
相手を承認したくなるし、
質問は湧いてくる。

まずはこの状態をつくることが、
1on1をうまく進めることに必ずつながる。

うまくいかないとき、
質問が出てこないとき、
多くの場合矢印は内向きになる。

「質問が思い浮かばない。どうしよう…」

「1on1がスムーズにできない。かっこ悪い…」

「マネジャーなのに、恥ずかしい…」

なんていうように。

内向きになった時点で、
質問は出てこない。

だって、1on1で相手のことを話しているときに、
自分にかまけているのだから。

相手を観ること、関心を向けることでしか、
質問は湧いてこない。

まずは矢印を相手に向けること。

肩の力を抜くこと

慣れない1on1をやっている。
1on1やコミュニケーションに関するプロではないということ。

これを自覚、認識するといい。

マネジャーなんだから、完璧にやらなければならない。
1on1においても、私がリードして引っ張らなければならない。

まずはこのような考えを脇に置きましょう。

そもそも1on1においては、
伴走のスタンスが重要。

相手を牽引していく貨物列車。
あるいは相手を押していくブルドーザー。

こんなスタンスは1on1のほとんどの場面で、
役に立ちません。

1on1は二人三脚なんです。
「一緒に考えよう」
「そばにいるから」
「大丈夫、あなたは自分で考えられる」

といった考え方やスタンスが、
相手を自然と後押しして、自立を支援していきます。

引っ張る存在ではない。
共にいる存在なんだ。

だから完璧でなくていい。

1on1初心者であることを知ってもらう

時に、
自分の1on1スキルの状態を、
相手に知っておいてもらうことも有効です。

まだ私は、1on1を学び始めたばかり。
だから、あまり上手にはできない。
でも一生懸命やる。
だから、一緒に成長していこう。

もしこんなふうに、
マネジャーがメンバーに伝えたとしたら、
メンバーはどのように思うでしょうか?

「情けないなぁ…」
「頼りないなぁ…」
「大丈夫かなぁ…」

こんなふうに思われるかもしれない。
これが多くの人にとっては恐怖になります。

だから、
できないのにできるように振る舞う。

しかし化けの皮は剥がれます。

だから自分で剥がしておくのです。
だってしょうがない。
それが今の自分のレベルです。

マネジャーが自分の弱みをメンバーに見せる。

これは多くの場合、
そんなに悲観的なことではありません。

質問が出てこないのであれば、
「何を訊いたらいいかわからなくなってしまった」
「何を訊いてほしい?」

なんていうふうに訊いてみたらどうでしょうか?

意外かもしれませんが、
相手は自分で自分に対して訊いてほしいことを、
答えてくれるものです。

ずっとこれだと問題ですけどね…。

「確認」で間を取る

質問が出てこないときは、
「確認」で間を取ることもおすすめです。

相手が話をしたことを繰り返す、
つまり、要約をしたり、これまでの話を整理したりします。

整理をする中で、
次の質問が思い浮かぶかもしれません。

整理をしていると、
相手が何かを話したくなるかもしれません。

質問は引き出しが必要

どうしても、スムーズな質問をするためには、
知識や経験が必要となります。

過去に触れた質問が、
自分の脳みそに蓄積されていきます。

だからやるっきゃない…。
思いついた質問を、
とにかくたくさん相手に投げてみる。

質問集などを活用するのもいいでしょう。
1on1をしている仲間たちで、
どんな質問が有効かを話し合い、
蓄積していくこともおすすめです。

そして、
頭の中だけですべてやるのではなく、
質問集のようなものを、
1on1の時に座右の書として置いておくこともOKです。

頭の中だけでスマートにやるのだ。
という、かっこいい状態は1年後くらいの目標として、
今は何かを見ながらでも全然OKです。

是非気楽にやってください。

今日のまとめ

1on1において、質問のスキルは、
多くの人が気にしていることです。

質問に課題を感じる人が非常に多い。

でもやはり焦点があたるのはテクニックです。

1on1のことを話せば話すほどに、
やはり大事だと感じることは、
相手に対する本物の興味・関心です。

まずはここから始めてみてください。
「質問の達人」への道が、
きっと拓けるはずです。

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