「まずは小林創建の紹介をお願いします」

小林創建は私の祖父が製材業から始めた会社で、材木を扱うということを生業にしていました。父の代に住宅建設業に移り、2018年現在で社歴は80年を越え、住宅を始めてからも50年の歴史があります。長野県松本市の木造住宅というと、それなりの知名度を持っている会社です。役員を除き約30人のスタッフで運営しており、今は新築住宅で年間40棟以上、リフォームで約300件の施工を行っています。50年の歴史の中で約1500名のオーナーがいるため、その既存顧客のリフォームニーズにもお応えする形で営業をしています。

「チームコーチング導入の背景や当時の課題は?」

当時は、新築のブランドを3つほど立ち上げて、事業部制という形で経営していました。ちょうど消費税が8%に上がる状況だったので、新築住宅の受注を促進するために、各部門長に任せて成果を出せていました。数字的な結果は出てきたんですが、社内の一体感が失われていました。その増税の駆け込み需要の後に、業績が停滞しまして、会社として組織として危機的な状況になっていました。具体的には私を含めた社員と幹部の関係性が悪化し、非常に風通しの悪い状態。言いたいこともなかなかお互いに言えず、疑心暗鬼が生まれるような状態だったんですね。

私も経営者として一人で悩んでいる時に、「チームコーチングカンファレンス」に参加してみました。組織の中で様々な変革を生みだすことで成果が出るという、多数の事例を目の当たりにした時に、「まさしくこれだ」と。まあ、藁をもすがるような気持ちでいたのを覚えています(笑)

「チームコーチングしてみての感想は?」

会社がまったく変わったなという感想を持っています。組織内の疑心暗鬼やコミュニケーションがうまくいかない事が、2回のセッションを経て、かなり風通しのいい、ものが言い合える状態になりました。社員同士はもちろん、社長である私と常務の関係や、常務と幹部との関係性が目覚ましく変わったと思います。

社員たちは、私とのコミュニケーションが全然とれていないと感じていて、私としては指示や戦略を伝えてきたつもりが、全然伝わっていなかったんですね。チームコーチングの中で、「腑に落ちる」というキーワードが流行ったんですけど、社員たちはまさに「腑に落ちていなかった」。例え戦略・戦術が成果の上がる効果的なものであったとしても、実行部隊としては、イヤイヤやっているという状態。そこから比べると、社内・チーム内でのコミュニケーションが円滑化し、腑に落ちる事でこれだけ組織が動くのかと。

「伝える事」と「伝わる事」の大きなギャップに気づけたことが大きい

「特に印象に残っている出来事は何ですか?」

1回目のチームコーチングセッションで、「我々は何者か?」という問いをコーチから投げかけられて、おそらく半日以上、ずっと「自分たちは何者か」ということだけを8人で話し合った。こんなに決まらないものか。こんなにうちの会社はまとまっていないんだなと、そういう印象を持った。
同時に、ものすごく多種多様な意見があるんだなと。私が思っていた小林創建の姿、あるいは社員の姿について誤解していた部分もあるし、この人はこんなことを考えているんだという気付きの場でもありました。いかに自分が社員のことを見ていないかということに、一番最初のセッションで気づきまして、そうか、そういうことだから組織がまとまっていかなかったんだなと。自分たちが何者かを定義する中でも、みんなの同意で「これですよね」って言える組織は強いと思うんですね。もちろん、その問いかけがあったときに、誰もその答えを出すことができない。逆に言えば、それに時間をかけなければ出なかったという現状があったので、それは成果が出るわけないなと、そんなことを感じながらセッションを受けていました。

お互いに共有している暗黙知のつもりが、気づけば大きな認識の差になっていることも少なくなかった

言葉・文字・ビジュアルを駆使して徹底的に「見える化」し、認識の共通化を図る事でチームスタッフ同士の齟齬・誤解を解消していく

「自分たちは何者かの答えをチームで決めたときの感想は?」

「自分たちが何者か」を他人ではなく、社長からのトップダウンではなく、みんなの合議の中で決めたことが大切だと思います。「自分たちはチームなんだ」という自覚が生まれ、自分たちで会議を進めるし、皆で決めたことにコミットしていく意思が生まれました。誰一人もサボっちゃいけないという、それらの感覚がチームでひとつのモノを創りあげていく時に、いちばん大切な感覚じゃないのかなと。

「メンバーにはどのような変化がありましたか?」

今までは、すべてのことに対して、私に許可を取ってという形だったんですが、今はどちらかというとですねメンバー自身から、意見やアイデアが出てくるようになりました。

今は自分たちがチームを創って、いろいろなプロジェクトを動かしています。そのうちのひとつは「KSJ48」という新築受注のプロジェクト。要は、小林創建の新築の受注を48棟売ろうと。ただ単に数字だけではなくて、48件のお客様を、この松本の地域の中で喜ぶお客様たちをつくっていこうと、そういう家族をつくっていこうと、そういうプロジェクトなのですが、そういうことが今まではどちらかというと、決まらなかったんですね。
今までは、私とコンサルタントが創った数字に対して、社員がその数字をあてがわれて、目標というよりも、どちらかというとノルマという感覚で受け止められて、それが達成できない。でも今は、「KSJ48」もそうですし、私が直接的に関わるのではなく、それぞれの中心メンバーが独自につくって、独自に会議をミーティングを開いて、ということをやってくれているんで、これはものすごく大きな変化だなと。

「チームコーチングを実施しての一番の価値はなんですか?」

一番はやっぱり、社員が本当に本気になってくれていること。今まで私がいろんな言葉を尽くして伝えているつもりのことが、実際には伝わっていなかった。でも今は、社員ともっとフランクなコミュニケーションができますし、もっと本音の部分であるとか、もっと大事な部分で話ができるようになったなと。
それによって、自分たちが何をやらなきゃいけないかということが、社員が自分でそれぞれの立場で考えるような組織風土というんですかね、そういうものができつつあるのかなと。これはやっぱり、チームコーチングをやらないと生まれなかったものだなと。
たぶんまだ今の時点でやられてなければ、私が一人で一生懸命もがいているっていう姿が、もしそのままだったら多分なっていたんだろうなと。今そういうことがなくても、自分たちで走っていくというか、自走する組織になりつつあるのかなというのが一番の成果だなと思えています。

チームコーチングで自走する組織へと変革。本音で語り合える組織ほど強いものはない