1on1が多くの企業に取り入れられています。
しっかりと仕組みをつくり、
マネジャーの1on1スキル・コーチングスキルを高め、
準備を整えながら導入していく企業もあれば、

とりあえず上意下達で号令だけかけて、
なんだかわからんけど、
マネジャー(上司)とメンバー(部下)が
1対1で会話をすることになった、
というような企業もあるようです。

今日のテーマは、1on1におけるフィードバックです。

この記事を読んでわかること

  • 1on1でフィードバックしていいのか
  • 1on1におけるフィードバックのやり方
  • 1on1フィードバック時の注意点が

こんな人におすすめ

  • 1on1を実施しているマネジャー(上司)
  • 1on1を実施しているメンバー(教育係)
  • 1on1でどう振る舞えばいいか困っている人
  • 1on1の導入を考えている組織の人
  • 1on1を導入したけどうまくいかず困っている組織の人

この記事の信頼性

リーダーシップやコーチングに関する研修を15年以上実施している
1on1やビジネスコーチングの研修を100本以上やってきた。
1on1を実施する企業の仕組みづくりにも携わっている。

1on1でフィードバックはしていいの?

結論→もちろんOK。
1on1はフィードバックをするための重要な機会です。
ただし、フィードバック乱発は危険です。

1on1の目的

そもそもの話になりますが、
1on1の目的を少しだけ見ていきます。

1on1の目的は大きく2つあると、
私は考えています。

と、この2つの目的を叶えていくことを通じて、
組織的な成果の最大化を図ります。

目的その1:相手のパフォーマンスの向上

パフォーマンスというのは例えばですが、

  • 相手の成長支援
  • 相手の生産性向上
  • 相手のモチベーションの維持、向上
  • 相手のストレスや不満の軽減

これらのことを通じて、
相手が主体的、自発的に行動していくことを支援します。

目的その2:信頼関係の構築

組織で仕事をする以上、
信頼関係を積み上げていく必要があります。

組織内の信頼関係が上がると、
「心理的安全性」が高まります。

心理的安全性が高まると、
(上記目的ともつながりますが…、)

個人の生産性の向上が見られたり、
組織的な生産性が高まったりする傾向が見られます。

フィードバックとは何か?

フィードバックというのは、
「マネジャーから見える相手の、意識、言動、結果、
に関して、情報を伝えていく」

というもの。

例えば、
相手が寝グセをつけて出社した場合、

「寝グセついてるよ」

と指摘をするのがフィードバックです。

相手はその状況に、
気づいているかもしれないし、
気づいていないかもしれません。

でも、自分からしか見えていない可能性があるという前提で、
フィードバックを与えていきます。

フィードバックの結果

相手がフィードバックの内容に気づいている場合

フィードバックされたことについて、
もし相手が気づいているとしたら、
「別に寝グセ気にしないんっす」
って言うかもしれないし、
「朝必死で直してきたんですけど直らなかったんです…」

って言うかもしれません。

相手がその内容に気づいていたのだとすれば、
「気づいていたんだな」

ということです。

内容によっては、
「気づいているならいいや」

となるかもしれません。

それでOKならばそれで終了。

でも内容によっては…、
放置できないこともあるかもしれませんね。

その場合は、
改善を促す必要があるかもしれません。

相手がフィードバックの内容に気づいていない場合

パターン1:自分で改善する

「その行動やふるまいがまずかったな」と思えば、
改善しようとするでしょう。

これでフィードバックの目的を達したということになります。

パターン2:それでいいと思っている

気づいても修正しない可能性もあります。
その場合は、上記の「気づいている場合」と同じ対応になります。

フィードバックとティーチングとの区別

1on1において、
ティーチングとフィードバックは区別します。

ティーチングというのは、
あるべき姿や正しいやり方、手順などを、
相手に伝えていくことです。

フィードバックというのは基本的に、
相手に関して見える「主観的な」情報を伝えます。

なので、
それが正しいかどうか、合っているかどうかはわかりません。

上記の「寝グセ」の例で言えば、
「寝グセがついた状態で出社するのは望ましくない」
と伝えることであったり、
「そもそも社会人は身だしなみを整えるべきだ」
「身だしなみというのはこういうことだ」
「身だしなみを整える理由はこうだ」

などと伝えていくことは、ティーチングです。

フィードバックとコーチングの関係

「寝グセがついているよ」
とフィードバックすると、相手がその状態に気づきます。

「こうあるべき」と伝えるのがティーチングでした。
コーチングの基本的な関わりは、
「(寝グセがついていることを)どう思う?」

って訊く関わりです。

人は自分でわかっていることについて、
こうあるべきと人から伝えられることを嫌います。

だから、自分で「わかってるよ」と表現するチャンスを与えるわけです。

「別になにも思わないっす」
ってなれば、ティーチングをする必要があるかもしれません。

1on1で話してはいけないという勘違い

その中で、
「1on1というのは、しっかりと相手の話を聞くべき」
とだけ教育されて、
それが、
「1on1というのはマネジャーや上司が話すのはNG」
という捉え方をしている人もいます。

実際にマネジャーとメンバーが話しをすると、
上司が一方的に話し続けるという状況は、
多く見受けられます。

それゆえに、
「マネジャーは話すな!メンバーの話を聴け!」
発言禁止令的に言われてしまうケースがあります。

しかしこのことが原因で、
1on1ミーティングが非常に不自由にもなります。

お互いに気まずい沈黙の時間がただ流れるということもあります。

1on1における基本的なスタンス

前述のとおり、1on1ミーティングというのは、
相手のパフォーマンスを向上させるための機会です。

自分で考えて、
自分で発言して、
自分で選択して、
自分で決めて、
自分で行動して、
自分で責任を取っていく。

この流れを支援したいので、
基本的には相手が、
「考える→発言する」
という時間・機会を増やしていきたいのです。

なので、
基本的なスタンスは、
質問する。
傾聴する。

ということになります。
ただし、
そのために材料が必要ということであれば、
こちらからティーチングしたり、
なんらかの情報提供をしたり、
自分の思想や考えを述べたり、
ということも必要なことがらだったりします。

軸足は相手の、
「考える」「発言する」
ということに置きながら、
少しは自分が発言するというところにも、
足を入れておいたらいいと思います。

フィードバックの種類

フィードバック(伝える情報)には、
大きく分けて3種類があります。

事実のフィードバック

客観的事実を伝えます。
ここで言う「客観的事実」というのは、
多くの人から観てそうであるという情報です。

「寝グセがついてるよ」
「顔にご飯粒がついてるよ」
「約束の時間に遅刻したね」

などがそれにあたります。

気持ちのフィードバック

ビジネスシーンではあまり使われていませんが、
気持ちのフィードバックも有効です。

これはもちろん、
伝える側の主観情報です。

何らかの事実に対して、
こちらに起きた気持ちを表現して伝えるものです。

例えば、

「寝グセがついてるよ」
→「見ていてほっこりするよ」

「約束の時間に遅刻したね」
→「(約束守ってくれなくて)悲しくなった」

など

気持ちのフィードバックは、
「自分の言動が相手をこういう気持ちにしたんだ」

ということへの気付きになります。

評価や解釈のフィードバック

こちらの評価や解釈をフィードバックします。
こちらも主観の情報となります。

同じ事実を見ていても、
解釈というのは人によって異なります。

こういう見方もできるんだ。
とか
一般的にはこうなんだ。

という気付きになります。

一方、
人によって解釈は異なるため、
自分の解釈と全然違うものであれば、
受け取りづらいフィードバックにもなります。

フィードバックの種類の使い分け

この3種類を場面に応じて使い分けていくことになりますが、
事実情報だけ伝えて、相手が望ましい状態に言動を変えるのであれば、
別に気持ちや解釈を伝える必要はないかもしれません。

逆に、こちらの解釈だけ考えて、
自分の言動を考えさせるようなやり方もあります。

状況や相手の反応によって、
1on1におけるフィードバックのやり方は変えていく必要があります。

1on1におけるフィードバック4STEP

というわけで、
こんな手順でフィードバックすると、
うまくいきますよという、
ひとつのフィードバックのやり方をお伝えします。

Step1.フィードバックの許可を求める

相手の受け取る準備をつくります。
「思うところがあるんだけど、伝えてもいいかな?」
というような感じですね。

相手が求めていなかったりとか、
受け取る準備が出来ていない中で、
いきなりフィードバックを投げると、
無駄に相手が傷ついたり、
関係性が壊れたりします。

「会話はキャッチボールである」とよく言われますが、
いきなりボールを投げるのではなく、
相手にグローブを付けてもらうような感覚です。

Step2.フィードバックを伝える

自分から見えたことや自分が感じたことを伝えましょう。

Step3.相手の感想を聴く

そのフィードバックについて、
どう思ったかを確認する。

Step4.対策を訊く

そのフィードバックを受け取って、
具体的に今後どのようにしていくかを確認する。

Point

一般的に、Step3および4が抜けます。
フィードバックを伝えっぱなしでおしまいというケースが、
あまりにも多く見受けられます。

そのフィードバックを「消化」させる時間をつくるというのが、
非常に重要となります。

相手が理解していなかったり、
相手が反発していたりすれば、
フィードバックそのものに何の意味もありません。

伝えたことに対する自己満足で終わってしまいます。

フィードバックの目的は、
「相手のパフォーマンスを向上させる」
ことですから、そこに確実につながるよう、
フィードバックを落とし込むプロセスをつくりましょう。

フィードバックを伝えやすくする重要なポイント

こちらから伝えたフィードバックは、
素直に受け取って欲しい。
そして、言動を改めてほしい。

と望むことでしょう。
しかし、そうは問屋がおろしません。

フィードバックを素直に受け取ってもらうためには、
日頃あなたが、どのように相手の話を聴いているか。
どれだけ相手の意見を受け止めているか。
これらが重要な鍵となります。

ちょっと想像してみてほしいのですが、
自分の話を聴いてくれない人の話を、
素直に聴きたいと思いますか?

日頃からこの人は、
自分の意見に耳を傾けてくれている。
ちゃんと受け取っていくれている。
という感覚が、
逆にこちらからフィードバックした時に
「この人の話ならば真摯に受け止めなきゃ」
とさせるわけですね。

「自分は話聴かないけど、
相手には自分の話を聴いてほしい」

ってこんな都合のいい話はありません。

今日のまとめ

1on1には一般的な制限はありません。

組織的に、やってほしいこととやってほしくないことはあるかもしれません。
組織のガイドラインに沿っていくことはもちろん重要です。
そして、1on1ミーティングというものは、
わりと自由なものであるということも知っておいてほしいのです。

「自由」というのは勝手にやっていいということではありません。
「目的」を達成していくためには何でもありということです。

そして、うまくやるためのコツもあります。
1on1ミーティングにおいて、
「コーチングスキル」を流暢に使えることは、1on1の質を高め、
目的をより効率的に達成することが可能になっていくと思います。

1on1というのは、
共に仕事をする「同士」や「仲間」が、
相互理解を深め、
日常的な仕事をより楽しく、やりがいのあるものにし、
組織的な生産性を高めたり、
「この会社好きだわ〜」という実感を強めるために、
ものすごい強力な機会になります。

せっかくですから、
前向きに、楽しんで、
1on1を実施してみてください。

LBJへお問い合わせ

1on1を導入しているが、
「うまくいかない…」「困ってる…」という場合や、
「もっと1on1の効率や生産性をアップさせたい」ということであれば、
是非一度、お気軽にご相談ください。

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