コーチングにおいて、フィードバックを伝える技術は必要であり有効。そして、Iメッセージ、Youメッセージというのはメッセージを伝えるときのひとつの技術。
主語を変えるだけで、あるいは主語を明確にするだけで、メッセージの伝わり方が変わるという。同じようなことを伝えるのでも、ニュアンスが大きく変わり、受け取り方が変わる。
ではどのように変わるのか。事例でご説明。
事例1
You:あんたほんとひどい男だよね?
I:ひどい男だなって私は感じたよ。
We:俺たちってほんと、ひどい男だよね?
解説
Youメッセージ
Youメッセージは、非常に直接的だ。「あなたはこうだ」というアイデンティティすら決めつけられている感じがする。関係性にもよるが、受け取りづらい。自分の言い分も言えない苦しい状況。相手の心理の中には、抵抗や反発が生まれやすい。
Iメッセージ
一方、Iメッセージは、あくまでも一個人の感想。他の人はどうかわからないけど、私はこう思うよということ。「私の中にはこのことが起きた」というのは、間違いなく事実だ。「少なくともこの人にはこのような影響を与えた」という事実は、受け取らざるを得ない。しかし、他の人に同じように見えているかはわからない。同じ人や同じ言動であっても、捉え方は違う。「ひどい」と感じる人もいるし、「かっこいい」と感じる人もいるかもしれない。その「一部」の自分の言動を認知し振り返るための材料になりやすいのが「Iメッセージ」である。
Weメッセージ
Weメッセージというのは、相手と自分を括って一体感をつくる。「俺たち一緒だよね」とか「俺たち仲間だよね」とか「俺たち同じ立場だよね」というメッセージを暗に伝えることができる。
事例2:
You:なんてことしてくれたんだ!
I:こんなことされて、私は悲しい…。
We:俺たちなんてことしちゃったんだろう…。
解説
Youメッセージ
見て判るが、相手を責めているように受け取られる。責められるとやはり、防衛本能が働くし、反発や抵抗を招く。あるいは、落ち込みパターンにハマっていく。
Iメッセージ
自分の感情を伝えることで、矢印がフィードバックの伝え手に向く。Youメッセージだと、「お前が悪い」でメッセージの受け手に矢印が向く。これが大きな違い。
自分の言動がこの人を悲しい気持ちにさせた。それってなんだろう。自分の何が行けなかっただろう。
というふうに、自分の言動を見直すきっかけをつくりやすい。
子どもに対しても、「なんでわからないの!」って言うより、「わかってもらえなくて、お母さん悲しい」って伝えたほうが、子どもの心に入る。
まとめ
というわけで、本日は簡単な事例を2つ紹介しました。
ちょっとの事例紹介でも、結構ニュアンスが違うことがわかりますよね?是非メッセージの主語を明確にする、あるいは工夫することを通じて、メッセージのやりとりを今まで以上に円滑にしていきましょう。
ちょっとした心がけで、会話のキャッチボールが今までとは全く違うものになります。