Conference Discussion Talking Sharing Ideas Concept

ファシリテーターに必要なスキル① コミュニケーションスキル

ファシリテーターに必要なひとつ目のスキルは「コミュニケーション」スキル。「会議」は当然ながら「コミュニケーション」をしていく場であり、メンバー間のコミュニケーションの質が上がっていくことをつくるのがファシリテーターのひとつの役割だ。

というわけで、コミュニケーションのスキルとしてどのようなものが必要か、ご紹介していく。

傾聴

人の話をよく聴く。発言しやすい場・環境をつくることはファシリテーターの役割。もちろん全員が傾聴していれば何よりだが、そのモデルとなり「聴き方」を先導するのがファシリテーター。
傾聴のポイントを抑えながら発言者の会話を受け取る。「耳は聴いてます」は完全にアウト。発言者が「ちゃんと聴いてくれている」というふうに感じるためには、「視覚」によるところが大きい。人は発言しながら、人がどのように聴いているのかを気にしている。全身で「聴いてますよ」のサインを出すことが大事。

傾聴には以下のポイントがある

傾聴のポイント①:正対する

「人の話を聴くときは、顔と体を向けましょう」
コミュニケーションの研修であれば、一度は耳にするはずだ。
ただい、会議のファシリテーションはいちいち体を向けるのは大変なので、顔を正対させることを意識していくといい。

傾聴のポイント②:アイコンタクト

話を聴くときは、適度に目を合わせる。アイコンタクトに特に苦手意識がない話し手に対しては、しっかりと目を合わせて聴くといい。アイコンタクトが苦手な話し手は、凝視すると威圧感・プレッシャーを感じるので、適度にアイコンタクトを外すといい。

傾聴のポイント③:うなずき

うなずきは首を下に動かすこと。首を縦に振ること。

うなずくことで、話し手の「視覚」に「聴いてますよ」のサインを送ることができる。

傾聴のポイント④:あいづち

はい、ふーん、へぇ、ええ、なるほど、そうですね、確かに
といった、短い言葉を使って、相手の聴覚に「聴いてますよ」のサインを送ることができる。

傾聴のポイント⑤:キーワードの繰り返し

相手の会話において、重要、ポイントと思われる言葉を繰り返す。

(例1)
話し手「私は小さい頃から、本当に野球が大好きだったんですよ…」
聴き手「野球がね〜」

(例2)
話し手「去年からキャンプに行くのが本当に楽しみで…」
聴き手「去年からキャンプに…」

など

傾聴のポイント⑥:感情の反射

人は気持ちをわかってもらえることに喜びを感じる。相手の感情を受け取っていく。
相手の気持ちを受け取り、伝える。
感情の反射のやり方は3つある。

話の内容から推測

相手の話の内容を聴いて、推測できる相手の感情を伝える。

「それは嬉しいですよね」
「それは頭に来ますね」

キーワードの繰り返し

「キャンプが本当に楽しかったんですよ」→「楽しかったんですね」

非言語要素から読み取る

表情や声の様子に現れる様子をそのままフィードバックする。
「すごく嬉しそうな顔をしてますもんね」
「悔しいのが声に現れてますよね」

傾聴のポイント⑦:要約

要約は、それまでのその人の話をまとめながら、話し手が話したことと、自分が受け取ったものが一致しているかを確認するもの。
会議のファシリテーションにおいては、メンバー全員の確認にもなる。
要約には2つのポイントがある。

同じ言葉・単語を使う

話し手が使っていた言葉や単語をそのまま使う。こちらの解釈で好きな言葉に変換しないこと。言葉というのは人によって捉え方や解釈が異なる。ニュアンスが変わっていくと、話し手は「自分の話が正確に伝わっていないのではないか」と不安になったり、「自分の話をすり替えている」と不信感を抱いたりする。

順番はそのまま

相手の話のストーリーを勝手に変えない。相手が話している順番や流れで話す。順番が変わると、ストーリーの意味が変わってしまうことがある。

質問

メンバーが内容を詳細に、かつ誤解がないように共有していくためには、質問のスキルが欠かせない。ものごとを具体的にしたり、掘り下げたりと必要な質問を投げていく。人は発せられた言葉から、勝手な解釈をしたり、わかったふりをしたりすることが、あまりにもたくさんある。ファシリテーターの質問を通じて、場にいる全ての人ができるだけ共通の理解となっていくように心がける。

質問は主に、以下の質問の種類を組み合わせていく。

質問の種類①:オープンド・クエスチョン&クローズド・クエスチョン

オープンドクエスチョンとは

開かれた質問。イエス・ノーでは答えられない質問。質問されると、自分の言葉で答える必要がある。自由回答ができる。

英語の疑問詞を意識すると、オープンクエスチョンがつくりやすい。
Why→なぜ?目的は?理由は?
Who→誰が?誰に?何に対して?
Where→どこで?どんな場面で?
When→いつ?期間は?
What→何が?
How→どのように?

クローズドクエスチョン

「閉ざされた質問」

質問者によって、答えが限定されている質問。Yes/Noや択一で答えさせる。
答えるのが容易であると同時に、質問者の意図に答えが左右されるので、真実が見えにくいことがある。また、誘導されていると感じることも。

「大丈夫か?」→「はい、大丈夫です」
「選択肢は3つ。やるか。するか。絶対やるか」→「絶対やります」

質問の種類②:詳細化(掘り下げる)質問&拡大(拡げる)質問

詳細化(掘り下げる)質問

「それってどういうこと?」
平たく言えば、この質問を投げていくことになるが、状況に応じてこの言葉を変容させていく。
「具体的にはどうするの?」
「何を言われたの?」
「積極的にってどのように取り組むこと?」
「成功するってどんな状態のこと?」
「コミュニケーションをしっかり取りますって具体的にはどうすること?」

など

拡大(拡げる)質問

「他には?」

ということ。

現状で気になっていること。

意識して取り組むべきこと。

手にしたいこと。
考えられるアイデアや選択肢。

「他には?」

というわけだ。

これはよく使う質問なのではないかと思うが、ファシリテーターは意識的に投げていく。

質問の種類③:未来質問&過去質問

これはシンプル。未来質問は、未来のことを聴く質問。過去質問は過去のことを聴く質問だ。
ファシリテーターは、話の流れを整理していく。過去の話が必要なのか、未来の

承認のスキル

発言や姿勢に対して、承認を与えていく。承認というのは、「認めること」であり「認知していること」
発言者の方向を向いてうなずいて聴いているだけでも、承認になる。存在を承認されているということになるので。いちいち「すごい」とか「えらい」とか評価を与えていくこととはちょっと違う(あってもいいけど)。
なるほど、そう思ってるんですね。それも一理ありますね。あなたの発言が流れを作りましたね。

お世辞をいうわけではなく、実際に起きたことやファシリテーターが感じたことを伝えていくことで、発言者に承認を与えていく。

観察

場におきていることを観察する。
何が起きているのか。
何が発言されたのか。
誰の発言が少ないのか。
この場が今、どういう状況なのか。

ファシリテーターは、場の状況にアンテナを立てて、必要に応じてその状態をメンバーに気づかせていく役割を持つ。

フィードバック

時に何らかの注意や指摘をする必要がある。
ひとりで話しすぎている。
人の話を聴いていない。
全体的に、発言しようとする意志が見られない。
人任せになっている。

など

会議の目的が達成されることを阻害するような要因があるとしたら、その状態をファシリテーターはフィードバックしていく必要がある。そのために、状態に気づくことが、前述の「観察」のスキルである。

まとめ

ファシリテーションに必要な「コミュニケーション」のスキルについてまとめてきた。会議のコミュニケーションの質を高めるためには、ファシリテーターはそのモデルとしてその場に現れている必要がある。
ファシリテーターは、会議のコミュニケーションの交通整理役。スムーズなコミュニケーションが起きていくためにも、自身のコミュニケーションスキルを磨かなければならない。

次の記事

生産性を劇的に上げる会議のファシリテーション〜スキル編②マネジメント〜

関連記事

生産性を劇的に上げる会議のファシリテーション〜会議の流れ編〜
生産性を劇的に上げる会議のファシリテーション〜ファシリテーターのあり方編〜
生産性を劇的に上げる会議のファシリテーション〜スキル編①コミュニケーション〜
生産性を劇的に上げる会議のファシリテーション〜スキル編②マネジメント〜
生産性を劇的に上げる会議のファシリテーション〜プロセス編①会議の準備〜
生産性を劇的に上げる会議のファシリテーション〜プロセス編②会議の枠組みづくり〜
生産性を劇的に上げる会議のファシリテーション〜プロセス編③会議本編〜
生産性を劇的に上げる会議のファシリテーション〜プロセス編④会議のまとめ〜

(Visited 1,124 times, 1 visits today)