自分が好きな企業や気になる企業の理念を調べてみると面白い。
どんな事業なのか。
何を創り出したいのか。

何を大事にしたいのか。

「こうしたい」という形がわかる。

そして、注目してみていると、まさにその「ありたい」形と、実践が一致しているかどうかが観察できる。

理念と実践 言行一致の姿勢

「まさに言っていることをやっているよね」ということであれば、信頼されるしファンが増える。ただし、理念というのは、共感する人とそうでない人がいることは知っていなければならない。理念を掲げて、それがいかに素晴らしいものであったとしても、「いいな」と思う人もいれば、振り向きもしない人もいる。
世の中のすべての人をファンにすることは無理だ。競合もいる。つまり例えば、巨人が好きな人もいれば、阪神が好きな人もいる。「理念には共感するけど、もっと共感するこちらを選ぶよ」というのは、普通にある考え方だ。

また、逆に、「なんかかっこいいこと言っているけど、実際は違うじゃないか」という印象を与えてしまえば、当然ながら人は離れていく。ファンは離れるし、ファンでなかった人は近づかなくなる。理念を掲げたら、全社でそれを実践していく必要がある。

理念浸透のプロセス

理念が浸透していくプロセスがある。

設定→認知→理解→実践

理念浸透のプロセス1「設定」

まずは「定める」ことだ。ないものを新たにつくる。あるいは、古くなって形骸化しているため、新しくする。

その組織のオーナーやトップがひとりで考えて決めるケースもあるし、経営陣がすったもんだしながら決める場合もある。小さな会社であれば、全員で意見を交わらせて決めることも有効だ。

ひとりを含め、少人数で決めるのは、決定が簡単。時間が短くて済む。

チームや全員で決めると、プロセスに参画しているため、主体性や所有感が生まれる。設定後のプロセスが楽になる。

理念浸透のプロセス2「認知」

決めた理念を、必要な範囲に知らせていく必要がある。つまり、「私たちの組織はこんな組織ですよ」ということを、会社なら社員は最低限。取引先やお客さんにも、認知していく必要がある。

組織内であれば、理念共有のミーティングやパーティを実施したり、リーフレットやカードなどを配布するなどが常套手段。対外的には、ホームページがわかりやすい。多くの会社・組織は、ホームページ(たいていは会社概要のどこか)に理念(てきなもの)を載せている。また、経営方針発表会のような場所でも、理念は多くの場合語られることとなる。

認知の難しさ

私が最初に所属した会社は、毎年のように理念が書かれたカードが配られていたが、多くの社員はあっという間に机の引き出しにしまいこみ、1ヶ月もすればどこへ行ったのかわからない状態となる。

認知を確実にしていくためには、階層的に上の人が、末端まで認知されていくように発信しつづけていく必要がある。飲み会で説教したり愚痴を言ったりする代わりに、理念を語る必要がある。

理念浸透のプロセス3「理解」

認知と理解は違う。

「認知」というのは、「あるのは知っています。こういう言葉です」
という状態。

「理解」というのは、「この理念はこういう意味です」
という状態だ。

理念というのは、さまざまな想いが凝縮されている言葉。言葉の裏側や行間に、言葉には現れていない思いや意味が含まれている。それを自分の言葉で語れるか。これが理解のプロセスだ。

理念浸透のプロセス4「実践」

理念はここまで行かなければならない。頭ではわかっているけど、身体を動かすのがまた難しい。実践のレベルや度合いを高めていくことこそ、理念を定める目的だ。

当然ながら、階層的な上流にいる人たちは、口を動かすだけではなく、背中を見せることが重要。組織のしくみとして、階層の上下がある場合、下の人は上の人の言動をよく見ている。そして、良くも悪くもモデルとなる。

社長がそのように生きていること。役員が、本部長が、部長が、課長が…、まさに生き方が伝播していくように、それを社員全員が実践する状態をつくっていくことが大事なわけである。

まとめ

理念は「絵に描いた餅」「会社の壁紙」になりやすい。「あー、そういえばなんかありました」ってなりやすい。

理念を実態の伴うものにするためには、この理念を浸透するプロセスを意識しつつ、その各プロセスの状態が100%になるように、働きかけていく必要がある。

設定して満足する組織が多い。しかし、設定しただけで機能する理念などない。これを浸透させるには、草の根的な活動が必要だし、会社の規模にもよるが、数年掛かると思って関わっていくべきだ。